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夜灯祭(よとぼしまつり)
『獄寺くん!今日暇?』
突然の十代目からの電話に、携帯をしっかり耳に当て俺は何度も頷いた。
いや、今は電話中だ、頷くだけじゃ伝わらない…
『暇ッス十代目!めちゃくちゃ暇ッス!』
熱くなる携帯をギュッと握りしめ、降って湧いた幸せを噛み締める。
『じゃあ今日の夕方くらいに迎えに行くから、家に居てね!』
『え?俺お迎えに上がりますよ!』
『ううん、いいの!待ってて。』
ね、と釘をさされたら、ハイと頷くしかなかった。
フフッと耳元に柔らかな笑い声が届いて、くすぐったくて胸が熱くなる。
もっと聞いていたいけれど、十代目には準備があるらしく、無情にもじゃあね、と残しプツリと切れた。
「十代目の用事って何だ?あ、まさか宿題?」
一人ぐちゃぐちゃと悩んで見るものの残念ながら、ネガティブな思考しか出ては来なかった。
熱くなった耳元にそっと手を当てて、十代目の声の残響に目を閉じる。
『獄寺くん……』
ヤバい…
いかがわしい妄想しか出ない自分にため息を吐いた。
胸ポケットから煙草を取り出すと一本くわえ火をつけるも、なかなか十代目は消えてくれなかった。
何本目かの煙草の煙りが上空に向かって立ち上る。
それを目で追って、着替えるべくシャツのボタンを外した。
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