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Please Give Me Your Kiss4
「やだ…離してよ…」
馬鹿みたいな泣きながら、必死で逃れようとしても君は更に力を入れて俺を引き寄せて、更衣室に入り扉を閉める。
「離せませんっ!」
突然の大声と真剣な顔に一瞬びくっとして君をみる。
「貴方が泣いてるって言うのに、離したり出来ません…」
俺より泣きそうな顔で強く抱きしめられた。
「俺が…笹川に人工呼吸したから…ですか…」
辛そうに言葉を紡ぐ。
「十代目が笹川に好意を持ってるのは知ってました…やっぱり…そうなんですか…」
「え…」
まさか…獄寺くん…
「京子ちゃんが好きなの…?」
俺はとんでもない検討違いを発したのだろうか。獄寺くんが変な顔してる。
「あ…」
思わずしまった、と言うように口元に手をもっていく君。
「貴方が笹川が好きなのに…俺は横恋慕したりしません」
ため息を吐き覚悟したかのように話し出す。
「寧ろ俺は…十代目が…」
なんて言ったの。
更衣室の狭い室内で酸欠にでもなったのか。
幻聴?夢?
「貴方が好きです」
髪から一滴水滴が落ちる。
「俺…、ごくでらくんが…京子ちゃんに、き、キスしてるの見て…凄く悲しくなって…それで」
獄寺くんの表情が曇る。
「十…」
「聞いて」
君に伝えたくて先を急ぐ。
「京子ちゃんに、嫉妬したんだと思う…溺れたのがもし俺だったらって」
その時気づいたんだ。
「君が好き」
「両思いですか」
普段はカッコイイ君から発生したファンシーな台詞に俺は思わず微笑んで、
「両思いだね」と呟く。
「抱きしめてもいいですか」
「もう捕まってるけど…うん」
改めて顔を見つめて、笑い合う。ギュッと背中に腕が回ってきつく抱きしめられた。しなやかな胸元にそっと顔をよせる。
「十代目、あれはキスじゃありません」
耳元で囁かれる。
綺麗な顔が近づいて、唇が重なった。押し付けられた更衣室の壁が冷たい。
優しく啄む口づけから、侵入してきた舌を優しく受け入れて絡ませた。外から、プールで遊ぶはしゃいだ声が頭の隅に響く。
深い口づけから、離される舌を追いかけてもう一度重ねると、君がふわりと笑う。
「これが…キスです十代目」
唾液に濡れた俺の唇をペロリと舐めて、悪戯な表情で囁かれた。
ねえもっと君のキスをちょうだい
あとがき
ここまで読んでいただいてありがとうございます。君たちは学校のプールで、何をしてるんだとか言うツッコミは無しでお願いします(笑)山本に手貸せと叫ぶ獄寺くんが書きたかった…←え
あと泣いちゃうツナも書きたかったんです。青いね!
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