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うちらのイッシュ旅行記・05
−うちらのイッシュ旅行記−
〜第五話〜
「……ポケモンの、解放…?」
「そうだ!解放だ!!」
サツキの呟きに、男は力強く返事をする。
「はっ!超イミフ!」
ミヅキが吐き捨てるように言うと、女と男が言う。
「私たちの王様は、ポケモンたちが人間に苦しめられているのを嘆いていられるのよ!」
「人間はポケモンに好き勝手に命令し、こき使っているからな!」
「……………」
ミヅキの頭に、いくつかの記憶が浮かんだ。
『あ!停電かよ…。サンダース、ちょっと電気を分けてくれ』
『ジバコイル〜、デパートまで飛んでくれ』
『ロトム、草刈り機に憑依して、みーの代わりに庭の草を刈っといてくれ』
『レアコイルとコイルたちが電気を分けてくれたおかげで、夏の冷房代を浮かす事に成功したぜ!』
『メリープもふもふ…。枕にぴったりだなぁ』
「(…やっべ、心当たりありすぎる)」
ミヅキの背中に冷や汗が垂れた。
「(……みー、心当たりが多いんだろうな…)」
サツキはミヅキの心境が容易に予想できた。
女は言葉を続けた。
「だから私たちプラズマ団が、ポケモンたちを人間から解放するのよ!」
2人はプラズマ団という組織のメンバーらしい。
「行くぞ!チョロネコ!!」
男はミヅキのモンスターボールを持った猫のポケモン…チョロネコをひょいっと抱えた。
「「プラーズマー!!」」
そして2人同時に謎のかけ声を言うと、ミヅキとサツキに背を向けて走り出した。
だが黙って行かせるわけが無い。ミヅキとサツキも走って後を追う。
「何が『プラーズマー』だ!このポケモン泥棒!!メリープを返せ!!」
「……人のポケモンをとったら、泥棒…!」
☆
そしてヒウンアイス組。
ピピピピ…
リカのポケギアに電話がかかってきた。サツキからだ。
ピッ
「はいもしもし、リーダーだよ!」
『……みーのメリープが、ボールごと奪われた』
「え!?」
リカはびっくりした。
リカの反応を見て、電話の内容が聞こえないマキ達は不思議そうな顔をする。
『……相手は男女2人組。プラズマ団って、名乗ってた。砂漠の方に逃げてる』
「だ、大丈夫なの!?」
『……身のこなしを見る限り、大したこと無い。僕とみーで十分。でも、まだ街に仲間が居るかもしれないから注意して』
「わかった!みんなに言っておくね!」
『……ありがと』
ピッ
ポケギアを切ると、リカはマキ達に今の会話の内容を説明した。
☆
リゾートデザート。
「ぜえ、はあ……クソ!砂嵐が酷くて前がよく見えねぇ!!」
ミヅキは舌打ちしながら砂漠を歩いている。
運動が苦手なうえに運動不足なミヅキは、サツキ達の足についていけず、遅れてリゾートデザートについたのだ。
いつもだったらジバコイルに乗って追うところだが……ミヅキはプラズマ団の言葉が気になってしまう。
『人間はポケモンに好き勝手に命令し、こき使っているからな!』
「(…何か、ポケモンを頼りにしにくいじゃねぇか…)」
ミヅキは軽く唇を噛んだ。
*つづく*
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ミヅキが動かしやすいです。
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