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うちらのイッシュ旅行記・02
−うちらのイッシュ旅行記−
〜第二話〜
探偵団の船旅は7日間。イッシュ地方はかなり遠いため、カントーとジョウト間を行き来するのとはワケが違う。
「暇ですぅ〜…」
「うちも暇ぁ…」
船室のベッドに仰向けに寝ているユウリとリカ。
「イッシュには明日着く予定ですぅけど、もう一昨日あたりからずっと暇ですぅ〜…」
「ウノもトランプも飽きた…」
ごろり、とリカは寝返りをうった。
ちなみに探偵団の船室は2つあり、リカ・ユウリ・サツキと、ユウナ・マキ・ミヅキに分かれている。
「ふにゃーッッ!!」
ボールの外に出してあるリカのニャースが、扉に向かって鳴いた。
「どうしたのニャース…あ、壁で爪研ぎしないでね」
リカがだるそうに言った。
コンコンッ
扉を叩く音が響いた。
「にゃあ!」
ニャースは部屋の前に人が来た事を伝えたかったらしい。
「誰ですぅ?」
ユウリが立ち上がって扉まで行った。
探偵団メンバーではないだろう。彼女達はノックしたら反応を待たずににずかずか入ってくるからだ。
ガチャッ
「誰ですぅか?」
ユウリが扉を開けると、茶色い髪をした10歳くらいの少年がいた。
「すみません!ポケモンバトルしてくれませんか!」
はきはきとしていて元気のよい少年だ。
広い船の多くは、部屋を傷つけない程度のポケモンバトルはOKとされている。そのため、長い船旅に退屈しているジェントルマンやマダムがよくバトルをしている。
トレーナーが船室を回ってバトルをする…なんて事もよくある事なのだ。
「バトルですぅか!ちょっと待つですぅ」
少年を待たせ、ユウリはベッドでゴロゴロしているリカに言う。
「リーダー」
「何〜?ご飯〜?」
「違うですぅ。バトルのお誘いですぅよ!」
「そっか。トレーナーが来たのは…二日目以来だね。っと」
リカが上半身を起こし、そしてベッドから降りた。
「前はさっちゃんがバトルしたから…今回はうちがバトルするよ!ちょうどいい暇潰しになるし☆」
☆
その頃の他のメンバー。
「おえぇぇぇ…」
「……ゆーなちゃん、はい」
サツキが酔い止めと自販機で買った水をユウナに差し出す。
ユウナはいまだにゴミ箱のそばから離れられない状態だった。
ご飯は食べても食べても吐いている。殆ど水しか摂取しなくなった。
「うう……さっちゃんありがとう。わざわざ持ってきてくれて」
ユウナが酔い止めを口に入れ、水で飲んだ。
ミヅキがマキに言う。
「ゆーなちゃん初日からこうだったし……大丈夫なのか?」
「それが……体重が3キロも落ちたみたいで…。痩せたというか…」
「やつれたんだな」
マキとミヅキはため息をついた。
☆
その頃のリカ。
「ニャース、『みだれひっかき』だよ!」
「にゃにゃにゃにゃにゃっっ!!」
ニャースが相手のラッタを何度も爪で引っ掻いた。その後後ろに下がって距離をとる。
「ラッタ、『ひっさつまえば』!!」
ラッタが口を大きく開いてニャースに迫る。
「『でんこうせっか』でよけて!!」
「にゃあ!」
サッ
ガツンッッ
ニャースがよけたせいで、ラッタは壁に頭をぶつけた。
「そして『ネコにこばん』!!」
ニャースは隠し持っていた小銭をラッタへとぶつけた。
こばんが あたりに ちらばった(笑)
「最後に『きりさく』!!」
ニャースの技が決まり、ラッタは戦闘不能となった。
「わぁ、すごいなぁ…。負けちゃったよ」
少年はラッタをボールに戻した。
「頑張ってくれてありがとう。一緒に強くなろうね!」
そうラッタのボールに言った。
「君、強いんだねぇ…僕と同じくらいなのに!」
ピシッと、リカの表情が固まった。
「………キミはいくつ?」
「今度11歳になるよ」
「へ、へぇ…」
リカは引きつった笑顔で言った。
「それじゃあ、ありがとうございました!!」
そして少年はお辞儀をし、部屋を出て行った。なかなか礼儀正しい子だ。
少年が去った後…
「うっ…うちの方が凄い年上なのに!!あのガキ超失礼!!ね、ゆぅちゃん!!」
「そうですぅね。(リーダーの見た目じゃ仕方がないですぅ…)」
リカは荒れていた。だが直接少年を怒鳴らなかっただけ大人になった。
*つづく*
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