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赤の名を持つ彼を探して(14)

「『かげぶんしん』!そして『バトンタッチ』ですぅ!!」

『バトンタッチ』…使ったポケモンの能力変化を、入れ替えたポケモンに受け継がせる技。

ユウリはトゲキッスをボールに戻し、ハピナスを出した。

『かげぶんしん』でトゲキッスの回避率を上げ、その回避率をハピナスに移したのだ。

「地面に『タマゴばくだん』を置いていくですぅ!」

ハピナスはお腹のポケットからタマゴを取り出し、置く。数歩移動して置く、また移動して置く。

『かげぶんしん』のハピナスも同じ動きをするが、偽物なのでそのタマゴは爆発しない物だ。

ワタルは感心しながら言う。

「普通は投げて攻撃する『タマゴばくだん』をそう使うとはね…。偽物のタマゴも使って量を増やし、その上どれが"当たり"かわからないわけだ」

カイリューが地面に降りたときタマゴは爆発する。『タマゴばくだん』を罠として使用するつもりなのだ。

「だけど、それなら降りなければいい!そしてタマゴも全て片付ける!カイリュー、『たつまき』!!」

カイリューは翼を使って風をおこす。風は巨大な渦を巻き、地面のタマゴをすべて巻き上げた。


…その大きさ、通常の『たつまき』の倍以上。


「なんだコレ!?」

「こんな『たつまき』……見たこと無いですぅ!!」

ミキもユウリも驚きの声を上げる。

「ハピナス、逃げるですぅ!!」

ユウリがそう指示を出すが、無駄だった。

「ハピナスに攻撃だカイリュー!!」

カイリューは『たつまき』をハピナスにぶつける。ハピナスの体は宙に浮き、『たつまき』に巻き込まれた。

ボンボンボンボンッッ

「はぴぃぃぃぃぃ!!!」

たつまきの中で爆発する『タマゴばくだん』。ハピナスは大きな鳴き声を出す。大ダメージだ。

「は、ハピナス〜!!」

ユウリは呼びかけるが、届くはずが無い。砂も一緒に巻き上げれられているせいで、姿もよく見えない。

『たつまき』が止み、まだ砂の舞う中ハピナスが落ちてくる。

ぽよっと軽く地面に弾んだ。

……目を回してひんしになっている。

「は、ハピナス…。ゆっくり休むですぅ」

ユウリは申し訳なさそうにそう言い、ハピナスをボールに戻した。そしてミヅキを見る。

「…みー、準備はOKですぅ?」

そうミキに聞くと、ミキはにししっと笑って頷いた。

それを見たユウリは笑顔でボールを投げる。

「(準備?一体何の…?)」

ワタルはミキが何をしたのかわからなかった。

「トゲキッス、お願いですぅ!!」

ボンッ

トゲキッスはボールから飛び出してすぐに、上へ上へと飛んでいく。

「カイリュー、追え!!」

トゲキッスを追い、カイリューも上へ上へと飛ぶ。

ワタルが上を見る。まだ砂が舞っている。

ハピナスは空中で8の字を描くようにくるくると飛ぶ。

「カイリュー、トゲキッスの動きをよく見て…『はかいこうせん』!!」

カイリューの放つ『はかいこうせん』は……

パシィン!

トゲキッスには当たらず、カイリューの右方方向に反射した。

パシィン!

パシィン!

さらに方向を変え…

バァンッッ

カイリューに帰ってきて当たる。

……ワタルはユウリの言っていた"準備"が何なのか気がついた。

視界の邪魔をしていた砂が消え、姿を表したのは…





大量のミラーコート。
しかもご丁寧にフィールドを囲むようにしてある。





カイリューと、トゲキッス・ハピナスが戦っている間にジバコイルが仕掛けたものだ。ミキによってしっかり角度を計算してある。

「ジバコイル、近くのミラーコートに『でんじほう』!!他のミラーコートにも撃ちまくれ!!」

バシュンッ

バシュバシュバババシュンッッ

「トゲキッス、そこのミラーコートに『はどうだん』をいっぱい撃つですぅ!!」

バシュンバシュンバシュンバシュンッッ

『でんじほう』も『はどうだん』も、次々と角度を変えて反射していき…

キィンキィンキィンキィン…

「よけろカイリュー!!」

避けても…

バシッバシバシンッッ

…角度を変えて反射した攻撃が当たる。

少しずつしか効かないが、確実にカイリューの体力を削れる。

「撃ちまくれジバコイル!!!」

「頑張るですぅぅう!!!」

ジバコイルとトゲキッスが休まず攻撃し続ける。

カイリューの体力も結構減らした。

「(みんなで練った作戦だ。いけるか!?)」

「トゲキッス〜いけいけですぅ!!」

勝てる!!そう思った瞬間、

「カイリュー…」

ワタルが命令する。





「…『げきりん』だ!!!」





『でんじほう』と『はどうだん』を避けもせず喰らいながら、カイリューがジバコイルに向かって突っ込んでいった。


つづく

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バトルシーンって、書くの楽しいけど難しいですね。

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