本棚
赤の名を持つ彼を探して(12)
夜、ヤマブキシティのホテルに集まる探偵団とグリーン。
(中略)
そして次の日。
「ちょうだい」
「無理」
「何で!?」
「心底不思議そうな顔をする君の頭が不思議だよ!!」
ここはセキエイ高原。そしてポケモンリーグの応接間。
(何か得体の知れないコネであっさりと)中へと通された六人とグリーン。
そして今。リカがチャンピオンのワタルへシロガネ山への入山許可を求めているのだ。
「人捜しなんだよ〜!ワタルだって正直、レッドがどこ行ったのか気になるくせにぃ!!」
リカは何故かワタルを呼び捨てにしている。知り合いのようだ。
「否定はしないが、殿堂入りしていない人を危険なシロガネ山へ入れる訳にはいかない。わかってるだろう?」
「大丈夫だよ!さっちゃんとグリーンがいるんだから!グリーンはジムリーダーだってやってるし!!」
どちら一歩も譲らない。
ワタルはチャンピオンの責任として、民間人を強い野生のポケモンがいる危険な山に入れる訳にはいかない。
しかしこちらも、依頼を受けた以上解決する責任がある。そして解決しなければ事務所にお金が入らない。生活がかかっている。
「チャンピオン、俺がいてもダメか?」
「ダメだ。いざという時、六人も守れないだろう?入れても殿堂入りしている君一人だけだ」
グリーンが頼んでもダメだった。
「むぅ〜っ!こうなったらみんなの手持ち見せるよ!!強いんだから!!」
リカがみんなに言う。
「みんな、手持ち全部出して!!」
☆ ☆ ☆
僕の事を、『最強のチャンピオン』と呼ばないで。
☆ ☆ ☆
「わたし、バトルはあまり得意じゃないんですよ…」
マキが、ミミロップ・グラエナ・シャワーズ・ロズレイド・キレイハナを出した。
「じゃ〜ん!あたしのメタグロス、強そうでしょ??」
ユウナは、メタグロス・カイリキー・ブースター・マリルリ・ルカリオ・ヘラクロス。毎日かかさずトレーニングしているため、レベルも高い。
「みーはこんな感じだけど…」
ジバコイル・ロトム・サンダース・レアコイル・メリープを出すミキ。実は他にもコイルを大量に所持しているのだが、今回は連れてこなかった。
「私はこの子達ですぅ〜」
ユウリはエーフィ・ハピナス・トゲキッス・エネコロロ。メンバー全員の体力が半端なく高い。
「………………ん」
サツキのエルレイド・ブラッキー・アブソル・ゴースト・ハッサム・バンギラスは、どのポケモンもレベル高く鍛え上げられている。
「そしてうちのポケモン〜!」
リーフィア・マルノーム・ゴクリン・ニャース・クチート・ププリンを出すリカ。ポケモン達のとぼけた雰囲気のせいか、強さが全くわからない。
六人…いや、ポケモン達も、静かにワタルを見つめる。その目には強い意志が光となって宿っている…ように見える。
「……………………」
ポケモン達を、ワタルは何も言わずに順番に見ていく。
「そうか…」
一通り見た後、ワタルは呟いた。
「本気だよ」
真剣な目つきでリカはワタルを見た。
「ふぅ…。わかった」
ワタルが席を立ち、部屋を出る。
数分後、一枚の紙を持って戻ってきた。
「みんな、ポケモンを全てボールにしまって」
ワタルに言われ、ポケモンをボールにしまう。
「この紙は名前を記入して、警備員に見せればシロガネ山に入れて貰える。つまり、シロガネ山入山許可書だ」
「貰っていいの!?」
立ち上がってワタルに迫るリカ。
「まだだ」
ワタルは腰のモンスターボールを一つ外した。
そして強めの口調で言った。
「俺のカイリューを倒せたら、だ」
つづく
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!