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赤の名を持つ彼を探して(10)

マサラタウン。レッドの家。

「…え?クルミちゃん?」

リカがファイアに聞き返した。ラジオで人気の子の名前が聞こえた気がしたから。

「(クルミちゃんって…聞き間違いか)」

「そ、ラジオで人気のクルミちゃん」

聞き間違いじゃなかった。

「何で!?レッドとクルミちゃんに何の関係が!?」

クルミちゃんは人気芸能人だ。どこで知り合ったのだろうか。

リーフが答える。

「お兄ちゃんがチャンピオンになったとき、インタビューしたのクルミちゃんだったんだよ」

初耳だ。

「そういうことか。なるほど〜」

ミキかカタカタとノートパソコンをいじり、閉じた。データを入力を終えたようだ。

「じゃあコガネに戻んなきゃいけないわね。せっかくカントーに来たのに」

ユウナが残念そうに言う。三日は滞在する予定だったため、ヤマブキシティにホテルもとってある。キャンセル料金もかかってしまうだろう。

「…はい。はい。……あ、そうですか。…はい」

ミキがポケギアで誰かと電話している。

「みー、何電話してんの?家の人に失礼だよ」

事務所に来た依頼者の前でお菓子を食べているリカが言えたものだろうか。

「リーダーはちょっと黙ってて。……はい。あ、強いポケモン?…はい」

強いポケモン…?

「……はい。わかりました。ありがとうございます」

ピポッ

「…ふぅ」

ポケギアを切り、一息ついたら、またノートパソコンを開いてカチカチし始めた。





パソコンをいじり終えたミキが、ようやく口を開いた。

「クルミちゃんから話聞いたらさ〜。」

「え!何!?さっき電話してた相手ってクルミちゃん!?」

「うん」

リカの問い平然と答える。

「うんじゃなくって!!何で番号知ってんの!?ねぇ!!何で!?」

勢いよくミキの胸ぐらをつかんだリカ。ぶんぶんと揺すり、ミキの頭はがくんがくんいっている。

リカはクルミちゃんの大ファンなのだ。毎日ポケギアで『オーキド博士のポケモン講座』を聞いている。

「ちょ…ま……おい………離せ!!」

ゴッッ

がくんがくんいう頭を、その力を利用してリカの頭にぶつけた。

「「〜〜〜〜〜〜!」」

リカは頭を押さえて黙ってしまった。ミキも頭を押さえている。した方もされた方も、同じだけのダメージを受けてしまった。

「クソいってえ……。まあ、ハッキングと逆探知と…な…。うん」

頭をさすり、にししっと笑うミキ。一般人の前で違法行為を平然と言うんじゃない。

「ハッキング…?」

ファイアが怪訝な顔をする。

「なあ、今ハッキングって言わなかったか?」

「き、気のせいだよ〜。でさ、クルミちゃんは何て言ってたの?」

ユウナがファイアの質問を無理やり流し、ミキの話の続きを聞く。

「ああ、インタビューで答えた内容以外にも何か言ってたかを聞いたら、『三年も前だから確かじゃないですけど、強いポケモンのいるところに行きたい…ってぼそっと呟いてました』ってさ〜。」

ミキがクルミの真似をしながら説明した。

「みー、クルミちゃんの真似、似てないしキモイよ」

頭を抑えて涙目のリカがミキに言う。

「テメェ…口にキムチ詰めるぞリーダー」

今にも戦闘体勢(肉弾戦的な意味で)になりそうな二人に、ユウナは言う。

「はいはい二人とも落ち着いて!」

「しかたねえな…」

「は〜い」

二人は大人しくする。ユウナは続けた。

「みー、つまり…コガネにはまだ帰らないで、強いポケモンがいる場所を探せばいいんだよね?」

「そうなるね〜」

飄々と答えるミキ。リカの方を見る。

「いいよな?リーダー」

「いいよ」

あっさりOK。

「強いポケモンが行る場所さがすの?なら、いい場所を知ってますよ〜」

リーフがニコッと笑って言う。

「シロガネ山ってところに、強い野生のポケモンが一杯いるって!」

「シロガネ山?よしっそこに行けばいいのね!」

張り切るユウナに、リーフは申し訳なさそうに言う。

「あ、でも…。入るには特別な許可が必要なんです。たしか、チャンピオンかポケモン協会の許可が降りないといけないって…」

「あ…そうなんだ…」

ユウナが少し残念そうな顔をする。

「ねえねえ。チャンピオンの許可って、ワタルに貰えればいいの?」

リカがやけにニコニコしながらリーフに聞く。

「はい」

「そっか…。ありがとう。いい情報くれて。」

リカがリーフに帽子の中からフルーツキャンディを取り出して渡しす。リカなりのお礼のつもりなのだ。

「よし。じゃ、みんなそろそろ帰るよ!後はワタルのところ行くから!」


つづく

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