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赤の名を持つ彼を探して(4)

事務所の中に戻った探偵団とグリーン。

サツキはグリーンの依頼のことをリカに説明した。

「人探しの依頼か〜!」

「そうだ。見つけられるのか?」

グリーンに言われ、リカは不敵に答えた。

「なめてもらっちゃ困るよ。ここにはゆーしゅーな人がそろってるからね!ちなみにお金は良心的に後払い☆見つけてから請求するよ!」

エッヘンと胸をはる。

「…そうか」

グリーンはサツキを見た。
正直リカよりもサツキの方が強そうだししっかりしていると思った。

「なんだよ〜、反応薄いなぁ。大船に乗ったつもりでいてくれていいんだよ?」

リカはそう言うが、グリーンは”この船は気をぬいたら沈没する”気がしてならない。

「はいはい、リーダー静かにしろ。まずはこのみー様の出番だ」

ミキがリカを黙らせ、ノートパソコンを起動させる。
ミキはノートパソコンで情報を収集させる他にも、データを保存する情報係なのだ。

「それじゃあ、その『レッド』って人の特徴を教えてくれ」

「(こいつ偉そうだな…)」

少々不愉快に感じたが、グリーンは答えた。

「そうだな…赤い瞳、だな」

それが真っ先に思い付いた特徴だった。

ミヅキはカタカタとキーボードを打つ。

「赤い瞳な…。さっちゃんの目みたいな感じか?」

サツキは暗い赤の目をしている。

「いや、もっと赤いな。暗い赤じゃなくてもっと鮮やかだ」

「そっか。……他には?背丈とか」

「背は、俺と同じくらいだった。…二年以上前の情報だがな」

「二年か〜…成長期だからあんまりあてにできねえな。もっと他の情報を頼るしかねえ」

ミヅキはがりがりと頭をかいた。

「だったら…黒い髪に赤い帽子。あとピカチュウとかフシギバナを連れてる」

「ふむふむ…でさ、その人とはどんな関係なんだ?」

「え!?いや…そうだな…なんというか…」

グリーンは悩んで口ごもった。

「ん〜?なんだぁ口ごもって。恋人か?」

ミヅキはニヤニヤしながらグリーンを見る。からかう気満々の表情だ。

「え!?恋人!?」

恋バナ大好きなユウナが、目を輝かせて反応する。

「彼女がいたんですか!どんな人ですか!?」

「ちげえ!!なんで男同士で!!」

グリーンは顔を赤くさせて否定した。

「なんだよ男かよ〜。つまんねえなぁ〜」

「違ったのね。残念だわ…」

ミヅキとユウナのテンションが下がった。あからさまにガッカリしている。

「まったく…。俺とレッドはなんて言うか、『幼なじみ』で『親友』で『ライバル』だ」

グリーンはため息をついた。

「幼なじみってことは、あなたと同じところ出身なんですよね?」

マキが質問した。グリーンは答える。

「ああ。俺もレッドもカントーのマサラタウン出身だ」

「ライバル、とはやっぱりポケモンバトルでってことですよね?」

「そうだ。オーキドのじいさ…じゃなくて、オーキド博士にポケモンを貰ってカントーを旅したんだ。行く先々でバトルしたよ」

「なるほど…。みー、ちゃんと聞いてた?」

マキはミキに言った。パソコンに情報を入力しているのか聞いたのだ。

「うん。聞いてた」

ミキはカタカタとパソコンに打ち込んでいた。たまにふざけるがちゃんと仕事はしているのだ。一応。

「ライバルか〜。なんかちょと憧れるわねぇ、男同士の熱い友情!」

ユウナが羨ましそうに言った。

「ね、さっちゃんもいいと思わない?ライバル!」

「…………………」

サツキに同意を求めたが、サツキは何かを考え事をして下を向いている。

「どうしたの?」

「…………………」

ユウナが聞いたが返事がない。



「……………思いだした…」



サツキが顔を上げた。

「……『レッド』、どこかで聞いたことがある気がしてたんだ。ようやく思い出した…」

「どういうこと?」

ユウナはサツキに言った。サツキは答える。

「……その人は、たった一人でロケット団を潰したと…いう噂がされていたんだ」

「ロケット団を!?」

ロケット団……カントー地方で活動していたマフィア組織だ。

「さらに彼は、カントー・ジョウトリーグ始まって以来の


『最強のチャンピオン』


だよ…」

「ええ!?」

驚くユウナ。

「ロケット団を一人で!?初耳だな!」

「マジですぅ!?」

「そうなんですか!?」

ミキとユウリとマキも驚いている。

「そうだ」

グリーンはいたって冷静である。

「HAHAHA、みんな知らなかったの?」

リカは笑っている。

「リーダーは知ってたの!?うっそだあ!」

ユウナにそう言われ、リカはムキになる。

「嘘じゃないよ!グリーンが殿堂入りしてチャンピオンになった後、殿堂入りした人がいたんだ。でもチャンピオンにはならなかった…。カントーじゃすごい噂になってたんだよ!」

グリーンも言う。

「普通は殿堂入りした後リーグチャンピオンになるからな。だけどレッドはならなかった。それでほとんど記事になってないんだ。本人も記事にされるの嫌がってたし」

「ロケット団の件はそれこそ本当に噂なんだけど、シルフカンパニーがロケット団に占拠された時に”赤い服の男の子”が一人で入っていったっていう証言があってね…。それが殿堂入りした『レッド』の服装と一致してるから、レッドじゃないかって噂になったみたい」

「つーかそれもレッドだけどな。俺シルフカンパニーでレッドと戦ったし」

二人の話を聞き、ユウナ達は納得した。

「知らなかったわ…。そういえばあたし、その頃おつきみ山で師範と一緒に山籠もり修行してたんだった」

知らなかったのは格闘道場の修行のせいだった。

「ああ、だからカントー出身なのにゆーなちゃんは知らなかったんですぅね」

ちなみにユウリはシンオウ地方でメイドの仕事。

「わたしとみーはホウエンにいたもんね」

「だな」

マキとミキはホウエン地方で生活していた。

リカはグリーンに言う。

「でもさ、なんでワタルがチャンピオンやってるの?レッドがチャンピオンを辞退したなら、そのままグリーンがチャンピオンを続けるもんでしょ?」



つづく

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あきゅろす。
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