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第1ターン「JC3人組のマンネリ化した日常からWDCへ 」


ハートランドシティ・ハートランド学園。

放課後、
この場所はある意味戦場と化す。

Dゲイザー越しに見えるのはARビジョンによって現れるモンスター達。

そう………
“デュエルモンスターズ”による決闘(デュエル)が行われるのだ!



☆第1ターン
JC3人組のマンネリ化した日常からWDCへ



「これで終わり!プレイヤーにダイレクトアタック!」

「うわぁぁ!!」

ダイレクトアタックを受け、
私の体は衝撃で後ろへ飛んだ。

MARIA:LP800→0


EMINA:WIN


決着がつき、
ARビジョンが消える。

対戦相手…勝者の『えみたん』こと『双麻 恵美奈』が私の手を引いて起こした。

「大丈夫?ダメージ設定もっと緩くなって欲しいよねー。ダメージ受ける度に痛いっつーの」

えみたんはため息をついた。

立ち上がった私は制服に付いた葉っぱを払う。

「ほんとだよね…」

怪我は…してない。よかった。

まぁこれのおかげでスリルと迫力が増すんだけどね。

デュエルディスクはプレイヤーのライフが減ると、それに応じたダメージを実際に肉体に与える仕組みになっている。

よりデュエルがリアルに感じられるようになっているのだ。

……攻撃力が100とか500だったら大したこと無い。
けど1000が飛んでくるとかなり痛い。
3000なんか…絶対怪我するでしょ。

そんなことを考えながら、デッキとデュエルディスクをしまった。



あ、そうそう。
私はハートランド学園3年の『風見星 真梨亜』。

成績はまぁ普通。
運動能力もまぁ普通。
デュエルの腕は…中の下くらいかな?

ごくごく普通のJCです☆


「それにしてもえみたん、『れいちゃん』来るの遅いね。日直日誌を提出しに行っただけなのに」

ちなみにさっきデュエルしてた『えみたん』と今話題にした『れいちゃん』は友達。
いつも一緒の、いつものメンバーだ。

「確かに。先生に何か言われてんのかな?」

「ちょっと様子見に行ってみよっか」

「そうだね」

私とえみたんは再び校舎の中へ入った。



職員室に向かう途中の廊下で見覚えのある人影を発見した。

「れいちゃんじゃね?」

「ほんとだ。あんなとこで何してるんだろ」

『れいちゃん』こと『水谷 怜衣』は窓の外を眺めていた。

幸せそうな笑顔をしている。

「何やってんだよれいちゃん」

そう言ってえみたんも窓の外を見る。
私も窓の外を見てみた。

歩道を幼稚園児が二列に並んで歩いている。お散歩をしているようだ。

「んー?可愛い園児を見てるの。あーペロペロしたいわぁ…」

…危ない。

れいちゃんの心によく分からないスイッチが入ってる。

このままじゃ犯罪を犯しかねない…!?

「YES!ロリータ。NO!タッチ!!れいちゃん、お触りは禁止!!」

「えへへへ……いいじゃないの…」

ダメだ!分かってない!
分かってないよれいちゃん!!

ロリショタコンは触ったらお縄なんだよ!!

「ほら行くよ」

えみたんはれいちゃんの腕を掴み、窓ガラスから引き離した。

れいちゃんはわざとらしく恥ずかしそうな仕草をする。

「え、えみたん…。デートなら言ってくれr…」

「違う」

「も〜照れ屋なんだからっ!」

えみたんとれいちゃんの漫才のような会話に苦笑いした。

「真梨亜も帰るよ」

「はーい」

えみたんに言われ2人の後について行った。



帰路の途中で私は2人に聞いてみた。

「ねえ、2人はWDC(ワールドデュエルカーニバル)には出るの?」

「あーあれね。もう受付始まってんだっけ?ウチはどうしよっかな…」

「私は記念に出るよ!せっかくこの街で世界規模の大会やるんだし!」

えみたんは迷ってて、れいちゃんは出場かぁ。

どうしようかなぁ…。

「プロも出るし、ウチら程度じゃ本戦まで行けないでしょ。出なくていっかな…」

えみたんの言う通りだ。
私たちは特別強いデュエリストではないからプロにはまるで歯が立たないと思う。

「え〜、出ようよ!ね、まりちゃんは出るよね!?」

「え!? うーん、どうしよう」

出てみたい気もするけど、どうせ勝てないだろうし…。
予選とはいえ大会だなんて緊張するし…。

「プロデュエリストも出場するんだから、Wもいるかもよ?時々ファンとデュエルしてるし、運が良ければ戦えるよ!」

「ふ…Wとデュエル!?」

私はつい大きな声を出してしまった。

W…今話題のデュエルのアジアチャンピオン。
強い・イケメン・紳士と3拍子揃ったデュエリストの憧れ!
しかもまだ17歳!私達とそんなに変わらないのに、凄い!!

「そういえば真梨亜ってWプロのファンだったね」

えみたんに言われ、私は頷く。

「うん!」

「確かに右目の傷があってもカッコいいしな。真梨亜好みのイケメンか」

「うん!」

「じゃあ、まりちゃんはエントリー決定だね!」

「うん!」

……うん?

「わたしとまりちゃんはエントリーっと」

ピッピッとれいちゃんがDパッドを操作した。

画面には『エントリーしました』と表示されている。

「ちょっとれいちゃん!? エントリーしちゃったの!?」

「まりちゃん出場するって言ったじゃん 。うふふ、楽しみ」

何てことをれいちゃんは…。

確かにWさまとデュエル出来るかもなことは嬉しいけどさ…
まだまだ未熟だし(今日だってえみたんに負けたし)自信ないよ…。

「精々頑張れ真梨亜…ふふっ」

「笑わないでよえみたん!」

「プロどころかその辺のデュエリストに負けちゃったりしてな」

「我ながらそんな未来しか見えないよ!?」

私の気も知らないで!
くそっ!えみたんなんかその辺で吐き捨てられたガム踏んじゃえ!!

「あっ…やば」

れいちゃんがDゲイザーを見て小さく呟いた。

「どうしたの?」

「いや…あの…」

そう私が聞くと、れいちゃんは申し訳なさそうな顔をした。

「間違ってえみたんもエントリーしちゃってた……。…て、テヘペロ☆」

れいちゃんはかわいこぶって舌を出した。

「なん…だと…?」

そしてえみたんは信じられねぇぜ…という顔をした。


つづく

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あきゅろす。
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