本棚
ブラマジ師弟とクリボー
ブラマジ師弟のお屋敷。
修行の休憩時間。
「クリクリィ〜?」
『クリボー』と『ブラック・マジシャン・ガール』が向かい合っている。というか、ガールがクリボーの顔をじーっと見ている。
師匠である『ブラック・マジシャン』はさっき修行で使った魔導書のとは別の魔導書を取りに、書庫へ行っている。
「ん〜…。クリっち?クリクリ?クリリン?あ、クリリンはダメだ…。もう思い切ってゴンザレスとかバブリーナとか…」
そして何かぶつぶつと言っている。
「ん〜悩むなぁ。どうしよ。パンちゃんの時なんか五秒で決まったのに」
ガールは少し困り顔。
因みに『パンちゃん』とは『ブラック・マジシャン』の赤い人で、お師匠様とは別人である。
今、クリボーのニックネームを考えているのだ。
「何を悩んでいるのですか?」
魔導書を取って戻ってきた師匠が、ガールに話かけた。
「あ、お師匠様!」
「もう休憩は終わりですよ」
ガールは師匠の言葉を軽く無視して言う。
「お師匠様はクリボーのニックネーム、何がいいと思いますか?」
「はい?」
ガールは続ける。
「わたし思ったんです。『エルフの剣士』はえっちゃん、赤いのはパンちゃん、『ホーリーエルフ』はホーリエ姉……」
「はあ…。それで?」
師匠は「エルフの剣士をえっちゃんって呼んでるのはガールだけだ」と思ったが、言わなかった。
「だからクリボーにもニックネームがいるって思うんです!」
「そうですか。…別に、無くてもいいと思いますよ。それより休憩は終わりです。修行ですよ」
「クリ!?ク…クリィ…。」
師匠の言葉にクリボーはショックを受け、寂しそうな顔をする。
「酷いですお師匠様!クリボーが可哀想じゃないですか!」
ガールがぷくっと頬を膨らませる。
「もう!お師匠様がニックネーム考えて下さい!」
「はい!?」
ガールの言葉に驚く師匠。
「じゃないと今日はもう修行しません!!」
そう言ってガールはぷいっと顔をそらした。なんというワガママ…。
「まったく…。」
師匠は呆れてため息をついた。
師匠としては、クリボーにニックネームはいらないと思う。長い名前ではないし言いにくい訳でもないからだ。だがクリボー自身、ニックネームが欲しいようだ。
「そうですね……。」
仕方がないのでニックネームを考えてみる。
しかし、面倒くさい。凝った名前など思い付かない。
「…ガールはよく"○○ちゃん"という呼び方をしてますし、"クリちゃん"でどうですか?」
「……"クリちゃん"…ですか。」
ガールが何度か呟く。
「クリちゃん……クリちゃん……」
そしてガールは納得して頷いた。
「うん。いいですね!クリボーは今日からクリちゃん!!」
ガールは嬉しそうにクリボーを抱きしめる。
「えへへ。クリちゃん!」
「クリ〜クリ〜!」
クリボーもとても嬉しそうだ。
そんなわけで、クリボーのニックネームが決まった。
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何故か、ガールはニックネームを付けるイメージがあります。
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