01. 「――うっ…」 目を開けると、知らない天井が目に入った。 ここ、どこだっけ…俺の部屋じゃない… 葉月はどうしてるんだっけ… 「ッつぁ!?」 葉月! 思い出して起き上がる。 俺、えっと……誘拐されたんだよな? ここは知らない部屋だ。 ベッドと机、クローゼットがある。 それからドアが2つ。 「あー…ここは…何だ…」 とりあえず正面のドア。 右手に何かのモニターが付いてる。 何か…廊下?みたいなのが映ってるな。 ドアノブ。 はい、動かない。 次。 もう一方のドアは開いた。 中はユニットバス。 綺麗、わりと広い。 結論。 「…ホテル?」 今度は部屋に戻ってベッドの上の山に気付く。 教科書とビニールに入った制服と、俺の名前が入った保険証みたいな銀色のカード。 「そっか…俺、無理やり転校させられたんだっけ。ってことはここは寮か…」 一つだけある窓は開く…けど。 「…高ッ」 外へは出れなさそう。 出口らしきドアは開かないし… 軟禁か…。 はぁ。 何で俺、こんな目に。 葉月はどうしてるんだろう。無事かな。 俺が帰らなくて、泣いてないかな。 ――ピンポーン 晩御飯はどうするんだ。 俺がいつも作ってたのに。 葉月泣いてないかな、お兄ちゃん泣きそう。 『あの〜、四五くん、居る?学校を案内するように頼まれてるハナモリだけど』 「いらねーよ!!」 思わず八つ当たりで怒鳴ってしまった。 すぐにハッとする。 人の声ーー!!! [次へ#] |