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翌朝の噂
その次の日、食堂に行くとなんだか妙に騒がしかった。
「昨日、見たか?」
「見た見た、すんげぇ美人!!」
「髪も、こう金髪で長くってさ」
「そうそう、団服着てたってことはエクソシストだよな」
「けど、そんなエクソシストいたか?」
「新しい人じゃねぇの?」
「馬鹿、それなら団服の用意が間に合わねぇだろ」
ちなみに、全部違う人の言葉だ。
そして、彼らは最後に揃って、じゃあ誰なんだ?と首を傾げた。
僕は彼らの前を通り、ジェリーさんのところに行こうとすると、途中でラビに見つかった。
「お〜い、アレン!!お前も知ってっか?昨夜の美人さん!!めっちゃ美人で、まじストライクだったんさぁ!!見つけたら、応援頼むさ?」
僕はもう新しい団服を着ているのだが、キラキラと目を輝かして明後日の方角をトロ〜ンと見るラビは気づいていない。
まったく、ブックマン次期後継者が形無しだ。
僕はもちろん美人と形容された時点で自分のこととは露ほども思っていないので、呑気にも誰でしょうね?と首を傾げようとすると、
「そいつぁ無理な相談だ」
低い声と一緒に、がっしりとした腕が肩から前に回った。
「師匠」
僕は首を反らして師匠を仰ごうとする。
「げ、元帥?それってどういう意味さ?」
言葉を詰まらせるラビは、何やら青褪めているようだった。
響くのは、意地の悪い声。
してやったりと得意げな声。
ああ、大人げない。
「お前の狙ってる女は俺の女だ。手ェ出したらただじゃ済まさねぇぜ?」
きっと師匠は今悪魔の笑みを浮かべているだろう。
さっきまで煩いくらいだった周りはしーんと静まり、ラビはただ必死にこくこくと頷いていた。
ああ、なんて気の毒に。
僕はラビに謝罪を込めて合掌したい気分だった。
けれど、何も話すことは許されず、師匠に腕を引かれてその場を後にした。
「__なあ、アレン・ウォーカーの団服ってさ…」
「変わったよな…?」
「あのデザインって、まさか」
「ひょっとして、ひょっとする…?」
「いや、でもだってアレン・ウォーカーって男だろ……?」
「いやいやいや、おい待てよ…」
「よく見ろって、あの膨らみ……」
「「「__………………………。
ぅええええぇぇぇぇぇ!?!?!?!?」」」
食堂中、もしくは教団中に響き渡った大絶叫に、師匠はますます笑みを深め、僕はきょとんと後ろを振り返ったのだった。







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あきゅろす。
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