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序章… 別れ
黒の組織は倒した。
しかし、コナンは瀕死の重傷を負い、哀も深手を負い、しばらくは入院していた。

目が覚めると自分を覗く、泣きそうな顔。
良かった…と震える声が呟く。
ゆっくりと伸びた手が頬に触れ、肌の触れ合うところから温もりが伝わる。
目が覚めて最初に見れるのが愛しい人である自分は幸せ者だと思う。
「……蘭…ねえちゃん」
その温もりが“生きている”のだと教えてくれた_。

銃弾の嵐を受けたわりには、もう退院出来る程にまで回復している自分の体を眺め、しみじみと感動しシャツを羽織る。
全てが終わってから、3ヶ月。コナンの退院の日だ。
そして、別れのときでもある。
コナンは新一に、哀は志保に戻るため、2人ともコナンの母とアメリカに永住する設定である。
哀は一ヶ月で退院したため、もう解毒剤は完成していた。
「この子達が大変お世話になりまして」
そう言って頭を下げるコナン母(有希子)。いえいえと会釈する蘭。
「でも!コナンくんと哀ちゃんが親戚だったなんてビックリしたよぅ」
「だよなー」
「やっぱりお二人が頭が良かったのは血筋だったんですねー」
相変わらずの少年探偵団が割り込む。
「マセガキだったのもそっくりだしね」
こちらも相変わらずの園子。
やはり人はあまり変わらないらしい、と苦笑して、コナンは懐かしむような随分と大人っぽく笑った。
「歩美、光彦、元太、お前らに会えて毎日が楽しかったぜ。これからも探偵団頑張れよ。
蘭ねえちゃん、園子ねえちゃん、おっちゃんも、みんな…今までありがとうございました!!」
コナンくんそろそろ行くわよと母が車の中から呼びかける。
「悪ぃ…。俺もう行かないと…」
「「「コナンくん……」」」
さっきまで元気はどこへやら_。三人とも泣き出しそうになっている。
「ったくこれが今生の別れでもないのに、くよくよすんなよな。」
思わずコナンまで泣きそうになり、慌てて嘘で慰める。
哀は泣き顔を見られるのが嫌で既に車に乗り込んでいた。
「ですよね!また会えますよね!」
健気にも涙を吹っ切ろうとする光彦に申し訳なくなる。
(悪ぃな、光彦。コナンとは…もう会えないんだ…)
「手紙、書くからねっ。帰ってきたく、なったら、帰って、きてね」
号泣していて何度もしゃくりあげる歩美に胸が傷んだ。
(歩美…。すまない)
「俺たちずっと友達だよな!!」
(元太…)
「ああ!!!」
最後にガッツポーズを交わして、コナンは蘭に向いた。
「蘭ねえちゃん、僕…蘭ねえちゃんのこと大好きだったよっ」
そう付け足して、小走りで車に乗り込む。
「コナンくーん!私もよ〜!!」
蘭は、すでに走り出した車に向かって、エンジン音に消されないように、早口の告白の答えを叫んだ。
もう、会えない…そんな予感がして、蘭はいつまでも手を振っていた。


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