バカップルですが何か!!
forever I love U
ガラス越しの海斗は大きく目を開いたかと思うと、いきなり席を立ち上がった。
その瞬間私は走り出した。
「由紀!!待て!!」
喫茶店を出た海斗が私を追ってきた。
なんでよ?
あの人はいいの?
皮肉なことにあの女の人よりも私選んでくれた海斗に心の中で喜んだ。
「由紀っ…!!」
足の遅い私が海斗を巻けるはずもなく、あっさりと海斗に捕まってしまう。
「離し…
「由紀、ちょっと来て。」
有無を言わせない言い方にドキリとする。フラれるのだろうか?…―不安で仕方ない。
ギュッと海斗に握られた手を見つめる。
もしこのまま別れるのだとしたら―…
もう少しだけこの温もりを感じさせて下さい。
着いた場所は海斗の家だった。
幸か不幸か海斗の両親は家にはいなくて、私は無言のまま海斗の部屋へと連れて行かれた。
ずっと手を握ったまま私達は海斗の部屋へと入る。ある引き出しを開けたかと思うとパッと私の手を離し、取り出したものを私の目の前に差し出した。それは青い小さな箱だった。
「これ…は?」
意味が分からずキョトンとする私に海斗は顔を赤くしながら小さな声で言いはじめた。
「明日…何の日か分かる?」
「明日?」
「……俺達の…一周年。」
「あっ…」
すっかり忘れてた。
明日は私達が付き合い初めて一周年の日だった。
「だから由紀にプレゼントしようと、明日まで内緒にしようと思ってたんだけど…泣かせたりしてごめん。」
「じゃあ…」
「コレ買うためにずっとバイトしてたんだ。安っぽいけど…」
パカッと開けたその箱の中には小さなリングがあった。
「海斗…」
嬉しさの余りまた涙が出てきた。
そんな私に海斗が慌てはじめる。
「ゆ、由紀!泣かないでよ…俺は由紀の笑顔が見たくて買ったんだから…っ。」
最後の方は消え入りそうな声だったけどちゃんと私には聞こえた。
思わず海斗に抱き着いた。
よろけながらもしっかりと受け止めてくれた海斗。
「海斗…、大好き!!」
「お、俺も好きだよっ。」
私達は互いに抱きしめあった。余韻をしばらく味わったあと、ふとあることを思い出した。
「喫茶店にいた女の人って誰なの…?」
「あの人は従兄弟。」
「従兄弟…それだけ?」
「そうだよ。…なんで?」
「あの人綺麗だったし。」
「あ〜〜もう!俺が好きなのは由紀だけ!!恥ずかしいからこれ以上はナシ!!!」
「っ!!…うんっ!」
私、海斗のこと疑ってた。
海斗はこんなにも真っ直ぐなのに。ごめんなさい。
もう疑わない。
海斗を信じるね。
あっ、また顔が赤くなってる。
不器用でちょっぴりヘタレな海斗。
私の中の貴方はやっぱり一番です。
何処でも貴方を思ってます
何時でも貴方を信じてます
いつまでも貴方が好きです
そんな私達…
バカップルですが何か!!
*Fin*
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