バカップルですが何か!!
whenever I believe U
なんか私って嫉妬深い女だなーなんて思いつつ、今日何度目かのため息を吐いた。
賑やかな街中。一人その帰り道を通る自分がみっともなくて足早に去ろうとする。
その時だった。
ふと喫茶店の中を見ると…
「嘘っ…?」
一つのボックスの席に海斗がいた。
前には綺麗な女の人。
頭が真っ白になった。
周りが見えなくなっても彼らの姿はいつまでも鮮明に瞼に刻まれる。その切り取られた二人の空間だけが動いていた。
あ、女の人が笑った。
海斗が照れてる……
しばらくぼうっと二人を見ていた。ふと冷たい冷たい風が吹いた。頬に感じるやけにひんやりとした感覚。そっと手をやると…―濡れていた。
何、泣いてるんだろ…私。
だって当たり前じゃないの。
私は海斗に捨てられちゃったんだもの。
…自惚れてた。
自分の中での海斗は一番の存在だったから、
海斗の中の私も一番の存在なんだって勘違いしてた。
そんな言葉を自分自身に投げ付ける。頬を伝う涙が止まらなくなってしまった。
止まれ、止まれ―…
言うことを聞かない涙腺にイライラして目をごしごし擦る。
擦りすぎて赤くなってしまった目元。急いでこの場を去ろうと顔を上げた時だった。
海斗と目が合った。
.
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!