加害者は誰?‐01
衝撃的な呼び出しから数日。
……、一体これはどういう状況なんだ?
休み明けに登校したら、俺の使っている机だけが物凄い悲惨な状態になってた。
落書き、カッターキズ、汚れた雑巾、上に上げられた椅子の中心に一輪挿しの花瓶。中には白い菊の花。すべての嫌がらせを一気に受けた机は、そこだけ異様な空気を持っているように見えた。
さすがの俺も驚きのあまり声も出なかったくらいにそれはそれは酷い有り様。
とりあえずそのままじゃ使えないから掃除して、花は勿体ないから花瓶ごと後ろの低い棚の上の端に置いといた。なんであれ金を払って買ってまで俺に対して贈ってきたわけだし、勿体ないし、花に罪はないし、意味はどうあれなにより綺麗だし。
クラスの連中の半分はいつも通り。心配する声もくれた。けれど半分は見ないふりとかイヤらしく笑ってるヤツらで、他のクラスの生徒もいる。
まあ、後者でこっち見て笑ってるヤツらがやったんだろうな、ととりあえず決めつけてみて。
多貴、伊織、瀬戸、幸丸は机を見てぶちギレ寸前だったけど、とにかく突然過ぎて状況が分からないのもあったし、落ち着いてもらって何かしら分かるまで様子を見てくれるように頼んだ。
これはイジメってやつかなあ、なんてぼんやりしながら考える。
授業中は何もなくて、ただ朝に登校したら机が痛め付けられて金をかけてまで花を贈られるだけ。もしかして俺じゃなくてこの机がイジメられてる…?と思うくらいだ。
今のところ呼び出しとか悪い噂みたいなのもない。
俺に対する個人的な恨みか、誰かに関係するのか、なにかの延長線上なのか。延長線上だったらとんだとばっちりだけどな!
身体的なイジメもなくて結局なにがしたいのか理解できないし、理由も分からない。会話すらしたことがない生徒が俺の様子を伺っている。ひそひそくすくすしてる。女子もいればカワイイ系男子もいる。
集団か、個別か、ただ空気に流されて便乗して笑ってるのか。
それから丸々一週間、飽きずに同じことを繰り返され花瓶と菊はいつの間にか七つになって。つか同じ花瓶なんだけどそれも買ってんの?とちょっと犯人の金銭感覚を疑った。
もさもさした菊を見て、華やかだねーなんて思ってる俺はなにか。そんなこと口にしたら素晴らしい黒さで伊織に怒られます。
ぶっちゃけそっちの方が怖い。マジで。
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