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ラブレターには意味がある。‐01
 

 ───それは、突然だった。
 いや前兆とかあっても困るけどさ。
 とにかく朝いつもの流れで下駄箱から上履きを取ろうとして、目の前の物体に手を止めた。














 中間テストの圧力から開放されたクラスは騒がしかったなー、と思いながらの昼休み。四人に用事があると告げ、向かったのは屋上。
 今日は教室でご飯だったから良いのか悪いのか。
 てか屋上て。


 重い扉を開けると、ぶわっと風が吹き付けて思わず目を閉じた。風が弱まり目を開けて、進もうとした足が止まる。

 正面奥、フェンスに寄りかかり横を向いてビル郡を見るその姿は、制服といえどさながら雑誌にありそうなモデル写真のようで。
 遠目からでもその雰囲気が他とはまるで違う。

 気配に気付いたのか、ゆっくりとした動きで正面を向いた人物に目を見開いた。


 なんでいんの、生徒会長。

 そこにいたのは、滅多にお目にかかれないと全校生徒の七割くらいが親衛隊だかに入るその対象、生徒会長本人だった。
 名前?ごめん忘れた。


「───…お前が仁科諒か」


 低い、けれど違和感のないその声に我に返る。
 会長が名前を知ってることは別に驚かないさ、仕事熱心な会長らしいから。
 俺はそこでやっと歩を進め、少し距離をとった所で止まる。会長は微動もないけど。
 で、疑問。


「…なんで会長が?」


 素直に問えば、会長は無表情も無表情で口を開く。


「手紙」


 その言葉に、思考が一瞬止まる。
 ……手紙?


「…、え、手紙!?あれ会長!?」


 素で驚いた声が出た。ちょっと恥ずかしい。
 そう、朝下駄箱にいたのは、一枚の手紙、とは言いがたいがそんなもので。
 真っ白な紙に一行、『昼休み屋上』と達筆で書かれた、手紙。
 まさかのラブレターよろしくベタなシチュエーションのひとつ、屋上とかさちょっとリンチかなんかか、とか思ってた自分何よ!?
 てかまず会長が下駄箱にラブレタ…じゃなかったメモ入れるとかなに、笑っていいのこれ。笑っていいの!?
 いやいやそれよりまさか会長からとか誰が想像したよ?誰も浮かばねーよ!


 


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あきゅろす。
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