04
棒状に形を整えながら纏めてもらい生地が滑らかになった所で、一口大に切って円形に潰し、クッキングシートを敷いた受け皿に並べてもらう。
整えてる途中で、説明をしながら予熱を始めているので並べ終えた辺りで完了するはず。
「あんまり近付けると焼き上がりくっつくから気を付けて」
「これくらいか、」
「そう」
数も丁度良く受け皿に収まり、タイミング良く予熱が完了したので、温度と時間は説明して設定は会長にやってもらった。
「クッキーはこれで良し。次は型チョコな」
「わかった」
素直に頷いた会長は手早くクッキーで使っていた器具やゴミを片付けていき、俺はその間に鍋に水を入れて火にかけステンレスの小さめなボウルとヘラを用意する。
沸騰し始めたお湯を横目に、ボウルに板チョコを細かく割り入れてもらう。
「調理台にふきんを置いて鍋を移す、その中にボウルを浮かせて、お湯が入らないようにチョコを溶かします。塊が無くなって滑らかになるまで混ぜながら溶かすこと」
「湯が冷めないか?」
「冷めてきたらボウル避けてまた火にかければいいから、大丈夫」
火を消して鍋をふきんの上に乗せ、会長が持っていたボウルをそこに浮かせて火傷防止のタオルで二つを押さえる。
「これでしばらく混ぜて、滑らかになったら呼んでください」
「離れるのか」
ちょっと不安そうな会長に笑う。
火にかけてないし焦げないから、お湯が入らないようにすれば大丈夫だと伝えると、真剣にヘラを動かしながら頷いたので、よし、とオーブンの様子を見てから着けていたエプロンを外した。
キッチンを出る前にもう一度会長を見ると、真剣に興味深く作業していた。
大丈夫だなと確認してダイニングテーブルの方へ向かい、退屈そうな瀬戸を見て笑みが浮かぶ。
無言で机を指で叩くと、顔を向けた瀬戸が一度会長の方を見てから静かに立ち上がる。
近くに来た瀬戸の手を取ってさっさとリビングから廊下へ出ると、ドアが閉まった瞬間に後ろから抱き締められて頬が緩んだ。
「ごめんな、退屈させて」
「……」
「返事しろよー、拗ねてんのかよー」
小声ではあったが軽く揺れながらふざけると、耳元で掠れた声が聞こえた。
「……拗ねてねぇけど、妬いた」
…くっそかわいい。
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