始業式から数日後。‐01
- ピピッ、ピピッ、
「………ん、」
- ピピッ、ピピピッ
「……んん、んーぅ、」
- ピピピッ、ピピピッ、
ゴンッ!
「……いたい」
「そりゃ、痛くしたからね。遅刻するよ!」
「……なんで、」
なんでいんの、お姉様。
ぼんやりとした視界の中、仁王立ちで腕を組んでたのは。
いつも気付いたら家にいる、近所に一人暮らししてるはずの従姉で。
つうか、不法侵入……。
「んなわけないでしょ!合い鍵貰ってんだから!」
バシンッ
おはよーございます。
朝から二回も頭叩かれて、寝起きの頭は軽くピヨピヨ鳴っちゃってるよ。
駅前の大通りから少し外れた、静かな住宅街ってほどじゃないけど点々と住宅が並ぶ、比較的穏やかな場所にある一軒家。
それが俺の住む家。
両親は、頻繁過ぎる海外出張で滅多に家にいないから、実質一人暮らしみたいなもん。
こんな、二階建てのよくある一軒家で一人暮らし状態じゃ、広く感じるもんだ。
そんな家で、俺の部屋は2階。
部屋着のまま、寝癖がついているであろう頭を軽く撫で付けながら階段を下りて、すぐ横にある洗面所へ。
階段下りれば目の前は玄関だ。
「朝ごはん出来てるからねー」
長くない廊下の先にあるリビングルームに入って行った従姉の声を聞き流しながら、ぬるま湯で顔を洗う。
心配性の両親が一人暮らし状態になる俺を心底心配して、だろうけれど。
たまたま近くに住んでた、いとこの両親に俺の様子を時々見てくれるように頼んでた。
のが、海外出張が頻繁になってきた小学校低学年からで。
いとこの両親がかなり多忙で、娘の間宮夏樹(マミヤ ナツキ)が独り暮らしになってから、時々っつうか、マジで頻繁なんだけど。
アパート帰ってんの?ってくらいいる。
社会人の25歳、独身。
雑誌のカリスマモデルをやっててもおかしくないくらい、美人。
実際何度もスカウトされてるし、そこに居合わせた事もある。
明るめブラウンのロングヘアーに、まさに八頭身と言えるスタイル。
けれどそれを鼻にかける事のない人。
『いつかの幸せの為に生きるより、今の幸せの為に生きる!』、みたいな持論を持ってたりする。らしい。
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