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04
 


 HRでまっつんが普段と変わらず遅れて来て、廣田と軽い言い合いをしているのを見て安心した。
 話しが出来たと聞いてから特にその件に関しては何もなかったから、ちょっと心配ではあったけれど擦れ違いや蟠りは解消されたようだ。
 だからなのか何なのか、まっつんが廣田に向ける目は俺からすれば痒いの何の、隠す気がないのか隠せないのか分からないけどすこぶる甘いと思った。
 何かと聡い伊織や多貴は気付いているし、二人を心配していた桜井ちゃんに目を向けたら、片手で口許を覆いながら凄い早さで携帯画面をタップしていて、申し訳ないけど指の動きが気持ち悪かった。それくらい早かった。


 だけどそれ以外のクラスメイトは特に勘づいているようには見えず、ただ少しの間あった二人の間の違和感が無くなったことに安心したようだった。いいやつらだ。



 授業中は滞りなく進んで、頬杖ついてぼんやりと窓の外を見る。


 バレンタインに瀬戸は休まないって言ってた。今年は瀬戸にも大量にプレゼントが届くんだろうな。
 それに関しては幼馴染み二人で慣れているから、大変だなと思うだけなんだけど。


 プレゼントを贈った方が良いのだろうか、と思ったのだ。
 多貴と伊織はお互いに毎年何かしら贈り合っていて、俺も二人から貰うし二人に贈るし、それは毎年なので慣れているけれど、瀬戸は欲しいと思うのかな。
 甘いものは好きだと知っているし、時々一緒にケーキ買ってるし、チョコレートも嫌いじゃないって言ってた。でもバレンタインで贈られる事はどうなのか。


 今まで直接ではなく置いてある形でも貰っていたというのもあって、相手が誰だか分からない物を疑い無く受け入れるタイプではないのは知っている。
 去年休んだくらいだから、受け取らないとは言っても置いてあったらそのままには出来ないかもしれない。
 好かれているのは分かっていても、こういうイベントには興味無さそうだからちょっと悩む。



「………、」



 そこでふと浮かんだ事があって、これなら特に問題ないのではと思い至った。
 贈るにしても周りと同じでは嫌だ。
 瀬戸が恋人であることを意識していないわけがない。お互い普段と変わらない態度を取ってはいても、立場は年明け前とは違うのだ。
 いつの間にか付き合い始めて一ヶ月が過ぎていた事を思うと、何となく意識してしまうのが「恋人らしい事」についてだった。


 


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あきゅろす。
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