[携帯モード] [URL送信]
悩みの種。‐01
 


 ───最近、よく考える。
 瀬戸の事は人として好きだとは思うけど、恋愛感情かどうかは微妙。
 一般的に、っていう世間の常識を引っ張り出すと、結局恋愛で当てはまるのは男女。異性。
 学校は共学だし、可愛い女子だって居るけど正直そういう対象には考えられていない。
 まあ、付き合っても同じこと言われて別れたりしたからだとは思うけど。別に女と付き合えないわけでも、男じゃないとダメでもない。たぶん。


 異性愛、同性愛、どちらでもないなら何だろう、と気になって調べたら、全性愛が出てきた。

『異性と引かれあうのは人間の繁栄、子孫を残すための当然の心理。恋愛はそのプロセス。
男性、女性やその二分法に基づいた性の分数に適合しない人々も含め、あらゆる人々に恋をしたり性的願望を抱いたりする人々。また、あらゆる人々に恋をされたり性的願望を抱かれる可能性を持っている人々。
さらに性別に囚われず特定の人間に恋をする事が出来る者などの要素をもつ人々を全性愛者という。』


 恋愛は必ず異性でなければならないという絶対はなく、法律もない。結婚は別として。
 でも、人が持っている偏見、価値観の中には必ずそのルールがいつの間にか存在している。まあ、子供は異性間でしか出来ないからかな。
 幼馴染みが恋人同士だから偏見がないってわけではない。俺だって元カレいるし。
 だけど、俺は本当に蒼司に対して同じ恋愛感情だったのかどうかと聞かれたら、正直分からない。
 想いを告げられても、抱き締められてもキスをしても、嫌悪感はなかった。だからと言って同じ想いとは限らない。
 蒼司の想いが強すぎて自分のが分からなかったのかどうかすら、今では曖昧だ。


 瀬戸は、外見はあれだけど、優しくて結構心配性で。見た目通りに喧嘩をすれば強いけど、内面はそれを裏切るというか、ギャップ?


 とにかく最近考えてる。
 なんか変だって。
 イヤ、瀬戸が変なのは初めて会ったときからそうなんだけど。
 変なのは俺自身だ。


 気が付くとこうやって考えてる。
 でも俺の態度に変化がないのは周りを見れば分かる。
 ただやっぱり、変だろ。どう考えても、なんでそんな気にしてるのか。
 どこがって答えらんないけど。



「……んぅ、」
「───…諒?」
「あ、?」



 呼ばれて目を上げれば、向かい側で首をかしげた夏樹さんが居た。その手には茶碗が。


 


[#]

1/29ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!