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 遊園地も楽しめば三時間程度は早々終わり、帰りのバスでは疲れて寝た。
 夕御飯のバイキングで幸丸の食欲にやっぱり驚き。遊んだり緊張したりで疲れたせいか腹は空くもんで、久々に苦しいくらい食った。


 それから風呂に入り瀬戸の体にいちゃもんをつけ。
 風呂から上がってマッサージチェアで体を解したりなんだかんだで、部屋に戻ったのは8時過ぎ。
 あれこれ投げ出される話題で盛り上がりながら、ソファで寛いでいた時に部屋の扉がノックされた。


「はいはーい、どちらさ、ま?」


 扉側にいた多貴が出ていって声だけ聞こえていたけど、微かだけど急に声色が変わった気がして。

 伊織は興味なさそうにお茶を飲んでる。
 すると多貴が戻ってきて目が合うと手招きされた。え、俺?

 ソファから下りて行くとそのまま手を引かれて扉の前まで来たら、そこにはあまり見覚えのない女の子がいて。
 たぶん違うクラスの女子生徒。
 小柄でふわふわした、綿菓子みたいな女の子だ。



「……急にごめんね。っあの、ちょっと話がしたいな、って」
「え、俺?」
「うん……」
「わかった、ちょっと待ってて」


 一度扉を閉めて戻ると多貴は既にソファにいて、ちょっと行ってくると軽く説明して携帯を持って部屋を出た。

 ヤバイな。なんかドキドキするんだけど。これってもしかしなくともアレっすかね。


 部屋から離れようと思って、少し歩こうと促してからは無言のまま並んで歩く。


 自分の肩より下に頭があるってことは身長150ちょい位なのかな、この子。
 かわいんだけど伊織を見慣れているせいか、際立って可愛くは見えない問題があるけど小動物みたいな可愛さがある。
 リス、みたいな。


 中央館のフロントを見下ろせる渡り廊下の真ん中まで来ると、ガラス越しに下を見ながら立ち止まる。


「暗くて見えないな、」
「そ、そうだね」


 緊張してるんだろうなあ。俺も緊張してるよ若干。でもあんまし表に出ない。
 一人分距離を空けた隣にいる女子生徒が体をこっちに向けて、ガラス越しに下を見てるのを見る。
 目が合うと瞬時に反らされるけど。
 早くしないと消灯時間が来て巡回の先生に羞恥プレイ強いられますよ。




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