13 「気になるじゃないっすかー」 「別に、ただ好きだとか付き合ってくれとか言われただけだ」 「で、なんて返したんすか!」 「近い寄るな喚くな。断ったっつの」 迫る幸丸の顔を肘で押し返しながら、若干引き気味の瀬戸は言いながら溜め息を吐いて。 いや、なんで俺ちょっとホッとしてんの。意味わからん。 人間の恋人がいる奴らに囲まれたくないからか。 「告白かあ、いいっスねぇ」 「お前はなさそうだしな」 「ちょ、瀬戸それ失礼っすよ」 ソファに座り直した幸丸は、ふざけながらも言い放った。 「これでもオレ、彼女いるんすよ!」 「は?」 「ぉふっ」 「マジか!?」 「そうなんだ」 ふふん、と鼻高々に言った幸丸に瀬戸は固まり、俺はお茶を吹き出しかけ、多貴は素直に驚き。伊織はにこやか。 つか彼女いるんかい! 意外だ幸丸。スポーツ恋人っぽい感じなのにまさかの彼女。 でも、多貴と伊織が付き合ってることに何の抵抗も示さなかったな。 「同じクラスで、ちょっと個性的っスけど可愛くていい子っスよ!」 今度機会があれば紹介するっス!と幸丸は上機嫌に言った。 個性的か。幸丸も個性的だけどな。 「でも森くん、部活とか忙しいよね。誰かと居るのあまり見ないし」 いつからそれを知っているのか、伊織が今までの幸丸を思い出しているように言って。 よく見てるよな。 「向こうも部活忙しいし、帰りと休みの日は一緒にいるっスよ!家近いし」 「同じ運動系?」 多貴は気になったのかそう聞くと、幸丸は少し考えるように目を反らして。 「いや、運動じゃないっスね。どっちかっつーと文系?」 なんで疑問系? 「彼女の部活くらい知っとけ」 「あいたっ」 へらへらしてる幸丸に対して、呆れたように瀬戸がその後頭部をかるく叩いた。 いや、知らないというか、言いにくいのか?そんな言いにくい部活ってあったかな。 [*][#] [戻る] |