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楽しいバーベキューもあっという間に終り、只今大浴場の更衣場にいます。貸し切り万歳!
あ、あのあと幸丸はちゃんと戻ってきて一緒にバーベキューした。るんるんだったからちょっと不思議だったけど、まあいっかみたいな感じで盛り上がりました。
そんな俺は今、隣で上半身裸の不良にムカついております。
なぜって。
「……理不尽だ」
「あ?」
キレイに割れた腹筋。いや腹筋って最初から割れてるらしいんだけどさ、そんなん知らねぇって感じじゃないっすか。
鍛えてんのかな、やっぱ。
思わずぺたりと腹を触ると、びっくりしたのか冷たかったのか瀬戸の体が強ばるように動いた。
「…っさわんな、」
「理不尽だー筋肉」
「さするな…!」
「…けち」
「………」
なぜ目をそらす。
ケチと認めるのか。違うか。
諦めて腹を触るのをやめて、ぱっぱと服を脱ぎタオルを腰に巻いた。最低限の礼儀としてね、うん。
相変わらず綺麗な体をしておる幼馴染みお二人は見慣れましたよ、よく風呂入ってたからね。最近はないけどさ。
つかこいつら磨いてんの?美意識高いの?
「仁科、細っ」
「…せっけん踏んで転べばいい」
幸丸に一番言われたくない事をさらっと言われて、つい口が滑った。
「甘いもん好きなのに細いとか、女子泣くっスね」
「うるせーバカ丸ー!俺は甘いもんが恋人なの!」
「もはや人じゃねえっす!」
くっそ笑いやがって!滑ればいい!
足元に石鹸でも置いてやろうかと考えながらも、ふと横の視線に気づく。
「どーせお前も幸丸と同じこと思ってんだろー」
「……いや、思ってねぇし」
ふん、だ。どーせもやしっこですー。
幸丸に転べ転べと念を送りながら、後ろに続いて大浴場に入るとそこはまるで宮殿の風呂場。
いや宮殿の風呂場がどんなんか知らないけどね、イメージイメージ。
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