05
「───みなさんこちらに注目してくださーい」
ざわめきの中、エントランス内に拡声器も使わないでよく通る声を上げたのは副校長だった。
例外なく全員が副校長に注目する。
「ここまでお疲れ様でした。後程この修学旅行中専用の館内パンフレットを配りますが、一応ざっと説明しますのでよく聞いてください」
各自立ったままだが、さっきまでずっと座ってたから寧ろ立ったままで良かった。それを分かってか分からずか話続ける副校長に、生徒からの文句の声はない。
「二泊三日の期間中こちらのホテルは貸し切りになっていますが、くれぐれも粗相のないようにお願いします、」
一体どっからそんな金出てくんだか。
貸し切りという言葉に若干周りがざわついたものの、すぐに静かになる。
副校長が生徒を見渡してから再び口を開く。
「えー、こちらでの大まかな規則時間ですが、消灯は22時、起床は6時半、朝食は7時から8時時半、夕食は18時から20時で、朝夜ともに食堂でバイキングになります」
やっぱりまとまった大人数じゃバイキングのが楽だよな。
内容が楽しみで仕方ない。特にデザート系が気になる。
「お風呂は男女とも大浴場と露天がありまして、朝5時から21時半までです。 そしてホテルを出てすぐ右手には海岸がありますが、ホテルオーナーの私有地です。宿泊客のみ自由に出入りできるとのことですが、朝4時半から20時までと時間が決まっているので必ず守ってください」
さっき見えた砂浜、あれ私有地だったのか。すげえ。
日差しも暖かくなってきてるのもあり、海に行けるとあれば生徒の興奮は上がる上がる。
小さな喋り声が聞こえるなか、副校長は生徒のテンションを更に持ち上げる言葉を放った。
「それと、本日の夕食は特別に海岸でバーベキューになりました」
その言葉に所々から、マジか、やった、副校長愛してる!とか何とか声が上がった。
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