従姉のストレス解消法。
「───じゃなー」
「また明日ね」
「じゃーにー」
いつもの分かれ道、二人に手を振って家へと続く短い道を歩き出す。
瀬戸は校門前で別方向です。
「たーだいもー」
「いもって何よ。おかえり」
玄関を開けて声を上げれば、やはりというかなんというか、当たり前のように居る夏樹さん。
まあ靴があったから分かったんだけど。
「んお、よい匂いがする」
「ちょっとストレス溜まっちゃってさー、がっつり作っちゃったわ」
「マジか」
ストレス解消に料理するって。しかもそれがプロ並みで美味いとか、夏樹さんは色々とズレている。
解消方法としては個人的にありがたいんだけどな。うん。
着替えに自室に上がり、カバンをベッドにぽーい。そーいや最近暑くなってきたな、とか思いながら薄い長袖とスウェットに着替えて一息。
下の洗面所で、手洗いうがいはちゃんとしますよ、と。
「はーらーへーりー」
よい匂いのもと(リビング)へと行けば、テーブルには何のお祝いですかみたいな感じの料理が。
「相当ストレス来てたんだね」
「そうみたい。お陰でスッキリしたわ」
「多貴たち呼べばよかった」
「ごめんね、メールすんの忘れてて」
「いんや、大丈夫っしょ。残ったら明日の弁当にする」
汁気が少ないヤツあるし、なにかと弁当向きだ。瀬戸の分作るとか言っちゃったし。
「うまひ」
「さんきゅー」
空腹と食欲を満たしてくれる夕食に舌鼓。それなりに落ち着いてきた頃に、夏樹さんは「そういえば」と言って。
「もうすぐ修学旅行だよね」
「あー、うん、今日班決めだった」
「どこいくの?」
どこ。どこ…?
つまんだおかずに視線を落とすと、夏樹さんは疑問符を投げてくる。
「……国内」
「は?」
「いや、国外か国内としか」
「……アッバウト…しかも国外とかあんの」
「らしいよ」
確かにそれは俺も思った。
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