巻き添え男子。‐01
授業もそこそこに、まっつんが修学旅行の話を持ち出したわけで。
てかさ、修学旅行先って普通なら沖縄だったり京都奈良だったりしない?するよね?国外か国内って、アバウト過ぎね?アンケートの結果国内って、いつアンケート取ったの?
悶々としていたら、前の席のイケメンが忌々しそうに舌打ちした。
「くっそ金持ちどもめ」
「いや、東よりマシだと思う…」
「……は?」
多貴が怪訝そうな顔をしたから、つい苦笑いしてしまった。
いやーね、前にあの人から聞いたことがあったんだよ、あの人東ヶ丘だし。
「国外か国内なのは変わらないんだけど、どちらにしても内容の規模がまったく違うらしいから」
「……諒ちんなんで知ってんの」
「知り合いから聞いた事がありまして」
つーか規模ってなんだよ、とか眉間にシワを寄せる多貴に、さすがにそこまでは分からんと返して。
その間に、当日一緒に行動する班の人数が決まったらしくて、まっつんが物凄くダルそうに言い出した。
「よーし、腹減ったから班決め十分でやれ」
「いや無理だから!」
思わず突っ込んだ。
いやうんマジで無理だから。皆さんの目が光った気がしたもん。
「五人か、どうする?」
「四人ならぴったしなのになー」
「は?」
「仕方ないよ、三十人だから」
「ちょ、」
そこのカップル。四人ってやっぱりアレっすか。
「瀬戸はもう含まれてんのかい」
「もちろんだよ」
にっこり可愛い笑顔してもダメです伊織さんよ。
そんな強引な所も嫌いじゃないけどさ、見た目に反してカッコ良すぎるよ。
「あとひとりか…」
そう呟いたと同時に、後ろ(瀬戸の方)から蒼司が来るのが見えてそっちに顔を向けた時、一瞬見えた伊織の表情が素晴らしいくらい笑顔だった。なぜ。
「…諒、」
「うん?」
それだけの会話なのに瀬戸の纏う空気が重くなったのはこの際スルーしよう。どんだけ短気なんだコイツ。
「あのさ、まだ決まってなかったら一緒にいい、かな?」
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