02
「しかもたまたま寄ったら売っててさ、昨日」
「最高ですね」
「礼は近々」
「覚えてたら」
気持ちいいくらいテンポよく会話を済ませ、ポッキーをかじる。うまい。
ふんふん。いやー、気分あがるね。
伊織がポッキーを摘まむのを横目に、後ろの席でボケッとしてる瀬戸に、貰っておいた二本目を差し出した。
「ほい」
「、は?」
あ、そーいや、初めて会った時より声が柔らかいなあ。
そんなどうでもいいことを思いつつ、手からポッキーが離れるのを待つ。
「いらねー?」
「いや…、サンキュ」
「おーう」
「買ったのオレですけどー瀬戸ちーん」
「ごっそさん」
「倍返しな」
「は?」
どこぞのネタだ、多貴よ。
左右の絡みに挟まれて、ちょっと新鮮な気持ちになる。なかなか打ち解けてきているように思えるけど、俺だけかなー。
ざわめきの中で、教室のドアが開けられる音がしてそっちを見れば、やはりというか遅刻した担任兼数学担当、まっつんが入ってきた。
「いやー、すまんな。ちょっと人生という道に迷って」
オイ。そのセリフどっから持ってきた。
ハッハッハッ、とか笑ってるけど、悪いと思ってないだろ絶対。
「まっつん人生迷うことあんだね」
「んだとコラ。北条、俺にだって悩みくらい、」
「へぇえぇぇ」
「オイ」
お馴染みの馴れ合いに、クラスメイトはくすくす含み笑い。
俺もちょっと多貴と同じこと思ってた。
「んなことより、」
ごほん、とわざとらしい咳払いをしたまっつんは、珍しく真面目な顔をした。
いやー、そんな顔されたら、違和感ありすぎてちょっと、ねえ。
「オイ、そこの窓際後ろ。笑ってんじゃねーよ」
「「さーせん」」
怒られちった。言わずもがな俺と多貴ですよ、ええ。だって面白い。
「ったく。 えー…、今日から午後の授業分を修学旅行のことで使うから。班とかはクラスごとだが、全体説明もあるからその時は講堂だ」
まっつんの言葉に、一気に教室のざわめきが大きくなる。
通常の授業を初めても収まらないボリュームに伊織が呆れながら最後に言えばいいのに、とか言ってた。
まっつんちょっと抜けてるからな。
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