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04
 


 左側にあるソファーに腰掛け、蒼司はテーブルに散乱する様々な菓子を見る。
 菓子が大好きな直也のおやつで、最初見たときには若干引いてしまうくらいの量があり、もはや食事と見紛う程である。

 蒼司が隣で菓子を物色している直也を見ていると、テーブルに紅茶の入ったカップが静かに置かれ、顔を上げれば葵が立っていた。見れば直也の方にも向かいに座る双葉の前にも置かれている。


「どうも、すみません」
「いいえ、直也が我が儘を言ってすまないね」
「…大丈夫です」


 一応ここで唯一の癒しですから。そう意味を含めて言うと、蒼司は再び直也に目をやる。食べたいものが見つかったのか、直也は幸せそうに甘ったるそうな菓子を頬張っていた。


「霧島君は優しいですね」
「いえ、べつに…」


 向かいに座る双葉は姿勢良く紅茶を飲んでいて、何故かじっと二人を見つめていた。
 一見すると上品で清楚、お嬢様、という言葉が似合う美女、生徒会書記。だがしかし。
 蒼司は恐る恐る双葉に視線を向ければ。



「……やはり王道的に会長…いえここはショタもありでしょうか……、けれど…今はまだフラグが───」



 ブツブツと呟いていた。小声で。真向かいで距離が近いため、蒼司の耳に嫌でも入るが、本人は聞かないフリをした。


 岩崎さんは変態……、いや変人だ。


 蒼司の目には、心なしか双葉の表情が緩み楽しげに見えたとか。
 一番クセのある人はきっと岩崎双葉だろう、と位置付けていた蒼司は、直也から渡された菓子をつまみながら小さく溜め息を吐いたのだった。


 ……というか、風紀は何をしているんだ。こんな生徒会を野放しにするな、取り締まれバカ。


 いまだ出会わぬ風紀委員に心中で悪態をつきつつ、やはり頭の隅では愛しい人に思いを寄せるが、このままでは生徒会に邪魔をされ続けて満足に接触出来ないのでは、と蒼司は危惧しはじめていた。

 …崇拝されるような生徒会と行動を共にするなんて、崇拝する生徒に何かされたら困るし鬱陶しいのに。



 授業終了を告げるチャイムが鳴っても解放される雰囲気が少しもない事に、蒼司は放課後までこの若干の拘束が続行されることを覚悟したのだった。


 


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あきゅろす。
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