03
「ぐ…ッ……げほっ」
「だいじょーぶかー?」
横向いて噎せてる瀬戸を覗き込みながらも、何で吹き出したのかが知りたくて仕方ねぇんだけど、俺は。
ふと、隣から会話が無くなってて、見れば二人して俺をガン見。なになになに。
「やりおるねぇ、諒ちん」
「大胆だね」
「はい?」
何をおっしゃるのかい、お二人さんは。
何の話しだ、と聞けば溜息を返された。返事をしておくれ、友よ。
「手作り弁当なんて、伊織とオレみたいだねぇ」
「………いや、いやいや違くね?」
「いつからそんな大胆な行動が出来るようになったの?ネットで見たの?ネットはあてにならないからやめときなよ?」
「あのー…、伊織さん?」
何のお話ですかね?
「いや、ただ単に偏ってんのが気になって言っただけだし、瀬戸がいらないってんならそれはそれで、」
「いる」
「………うん?」
予想外過ぎて、いきなり来た声を聞き取れなかった。
二人はニタニタしてますが。そんな笑みも不潔感ないの美形だけだぜ、マジで。
二人に向けていた視線を瀬戸に向ければ、若干涙目の瀬戸がいた。
変なとこ入ったんだな。声おかしいし。
「悪い、大丈夫か?」
「あぁ…」
「で、いまなんつった?」
「いる」
「何を」
「弁当」
「……」
「……」
瞬間的に、何故か頭の中が真っ白になった。自分で言ったくせに、何故か凄くテンパってる自分がいるんだ。
とりあえず…。
え、ちょ、マジで?
「食うのか?」
「食う」
「俺の作ったヤツ?」
「お前以外に誰がいんだよ」
ですよねー、なんてヘラヘラしちゃったりなんかして。
瀬戸はいつの間にか四つ目の惣菜パンに手をつけて、何でもなかったように頬張った。
「………おぅ」
とりあえずそれだけ言って、残りの弁当に目を向けた。
思うんだよ、いま、すんげぇ。
隣からのいやーな視線とか、自分の鼓動がキモいくらい早かったりとか、妙に嬉しい気持ちが沸き上がってたりとか。
……わけわかんねぇよ、これ。
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