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そりゃあ気にはなるよ。‐01
 


 蒼司が帰ってきたのは、なぜか三時間目が始まる直前だった。



「なんか、げんなりしてね?」
「……確かにね、何かあったのかな」



 見た目はそう変化は見られないものの、ある程度付き合いがあった俺達からすれば蒼司の雰囲気の変化に気付いた。
 何だか、疲れてるようにも見えるような。

 多貴も俺も横向きだったから、教室に入ってきた蒼司がただぼんやりとした感じで席についたのを見た。
 伊織は振り向いていて、瀬戸は特に興味なさそうだ。



「他クラスの女子にでも捕まったか」



 多貴が面白そうに言ったけど、なんとなく違うような気がした。いや気がしただけなんだけどさ。



「そんなん、中学ん時もじゃね?さすがに慣れただろ」
「そーかねえ」



 お前はおじいちゃんか。
 さりげにモノマネすんなし。


 チャイムが鳴って、三時間目の授業が始まっても蒼司はどこか上の空。
 時々多貴と目が合って、同時に軽く首を傾げるほど。



 横向きでノートを机に広げ、黒板を時々チラ見する。一応私立だから授業のレベルは高いからノート取らないとテストがヤバいことになる、ってのは多貴が体験済みな為、俺も多貴もちゃんと授業は聞いてんだよ。

 ただ、やっぱり気になっちゃうわけだ。
 元カレだったってのもあんのかもしんねぇけど、それ以前に知り合いだし。かと言って、こっちから何があったかとか聞けるような感じじゃない。
 ぶっちゃけ俺はアイツと会話してる途中で連れ去られて来たわけだし、もしかしてあの話の事考えてたのかな、とか思った。

 けど、なんかそんな感じじゃない。
 あんな心底疲れた雰囲気出すほど考え込むタイプじゃないってのは、本人が言ってた事だし、だからその選択肢は除外。
 つーことはやっぱ、あのあと女子とかに言い寄られたりしてた、とか?



 こつん、とシャーペンの先がノートに何度も当たって、小さな黒い点がいくつかついたのを見ながら、我ながらキモいくらい何故か考えてた。


 つか言い寄られたりって、授業中だったしなぁ…。二時間もなるか?なんないよな。
 いや分かんねぇけど。一人じゃなかったかもしんねぇし、うん。
 ……って、なにマジに悩んでんだ。


 ぱっと思考を切り替えようと黒板に集中して、ノートを取ることにした。


 


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あきゅろす。
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