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04
 


 腹黒(偏見的予想)な副会長、相模葵に続き、学校内に存在する委員会用教室の中で一番の規模を誇る生徒会室へと、蒼司は大半嫌々ながらも入って行く。
 そして、出入口を入ってすぐの場所で蒼司は唖然として立ち止まってしまった。


 そこは学校の教室というよりむしろ高級感のあるオフィスのようで、白い壁に茶色の縁、シンプルだが装飾は細かく学生が使用するには贅沢すぎる。
 出入口真っ正面には大きな窓があり、両脇にレースカーテンが纏められていて電気を点けなくても充分な光が入っている。
 そんな窓の手前には大きめのデスクがあり、ノートパソコンや卓上ライト、山積みの資料のようなものが置かれ、そのデスクにはPCを操作している男子生徒──生徒会長だろう──が座っていた。


 生徒会長のいるデスクの手前には一回り程小振りなもののやはりデスクがあり、向かい合って四つ置かれている。
 その全てにノートパソコンと卓上ライト、そしてファイルや数枚の紙が置かれているが持ち主は不在で静かだ。


 それはそうだ、と蒼司は少し落ち着きを取り戻して息を吐きだした。
 本来ここは高校であり本分は勉強だ。そして今は授業中、いなくて当たり前なのだ。


 そうしている間に、葵は蒼司を気にかける事なく慣れた動作で滑らかに奥のデスクへと移動していた。

 連れて来てしまえばそっちのもん、ってか。


 まるで呆れしか出てこない。

 つくづく帰りたいと思いながらも、蒼司は真っ正面にあるデスクを見つめた。
 少し距離があり、逆光で顔ははっきりと確認出来ない。
 葵が絶妙な声量で話しをしているおかげで言葉までは聞き取れなかった。

 帰りたい。嫌な予感しかしない。

 蒼司は生徒会室を見回す事もせず、ただじっと、このままダッシュすれば捕まらないで今日を乗り切れるのではないか、と考えながらも、しかし後々とてつもなく面倒な事が待っているのでは、と思っていた。

 だが、その思考は次の瞬間簡単に破られた。



「───お前、いつまでそこで突っ立っているんだ」



 その鮮明さのある低音な声に、ぞわり、と一瞬だけ背中が粟立つのを蒼司は感じた。



 

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あきゅろす。
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