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09
 


 意識が飛ぶのでは、という感覚をその時初めて実感した。
 入ってくる時も出ていく時も内側を擦るから、動きがゆっくりだと余計にはっきりと理解出来るけど、それでも受け取る快楽が強くて頭がぼやける。

 足を肩に掛けられると更に奥まで入ってきて、下半身が密着して普段から高い体温が更に高く熱い。
 息苦しさはあるのに嫌なものではなかった。
 的確にそこを突かれる度に押し出される声が叫びに似ていて毛布を口に引き寄せたら、しかしすぐに外されて唇を舐められ無意識のうちに舌を出した。

 抑えようとして隠したはずだったのに、瀬戸は俺に声を出させようとするものだから抗えずに喉が鳴る。
 口は塞がらず開きっぱなしで、そこから下手くそな呼吸と一緒に音が漏れる。


 肩から足が外れると少し息苦しさは無くなったけれど、直後に瀬戸の手が自身を包んで擦りあげた刺激と中の衝撃で咄嗟に腕を掴んだ。



「〜〜っ!…ま、あっ、ま…って、いっしょ、ダメ…ッ」
「…はっ…イキたいっつったろ」
「言った、けどぉ…っ」



 こんな同時に刺激されたら気持ち良すぎてまともに喋る事すら難しく、腕を掴んでも力が入らずに拒めない。
 先端を指が滑り括れを擦られ内側の浅い所を抉られて、急速に追い込まれていく感覚は濁流のようで頭の中が弾けそうになる。
 さっきまで緩やかだった動きが徐々に勢いを増して、水気を帯びた肌のぶつかる音が大きくなっていく。

 涙で視界がぼやけて殆ど見えず体に受ける感覚がいやに鮮明で、底から押し上がってくるような快楽の塊を止める事なんて出来なかった。

 その瞬間は火花が散ったみたいに頭の中の思考なんて全部吹っ飛んで、本当に真っ白に弾けた。



「───〜〜あ゙ァ…ッ、ふ、あ、」
「……っ、はぁ、もうちょい、頑張れ」



 弾けた瞬間に力が入ったのか、辛そうな声が聞こえたのに言葉は俺に対する気遣いで、声に色気しかないくせに理性が強すぎて、もっと本能に飲まれてしまえば良いのにと自分の負担の事なんて飛んでいた。



「はぁ、はっ、せと、だいじょぶだから、もっと…っ好きにして、」
「……アホ…っ」



 涙を拭って視界がはっきりして、そこで見た瀬戸の表情には余裕なんて見えなかった。
 それでも気持ち良くなってほしいという思いはずっと残っていたから、顔を引き寄せて唇に噛み付いた。
 離れた直後に動きが更に激しくなって、目の前がチカチカする。



「も、出す…っ」



 余裕がない低い声に、堪らず「好き」と吐き出して、一際奥に押し込まれた感覚と抱き締め合う温もりに意識が浮いた気がした。


 


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