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07
 



 ホイップが出来上がるまでは互いに質問したり、脱線して出会う前の話になったりで結構盛り上がった。

 瀬戸の過去話は基本的に夜遊びしていた頃だったけれど、それ以前はお祖母ちゃんと過ごしていた時期の話が主だった。
 亡くなるまでは親代わりだったという瀬戸のお祖母ちゃんは、体が弱くあまり外出は出来なかったものの室内でも退屈しない話や遊びを教えてくれたのだとか。



「ゲーム機とか無かったし、同世代がやってた遊びよりはそっちのが楽しかった気がする」



 だから有名な某パーティゲームもやり方分からなかったわけだ。
 独楽、面子、花札、あや取りとかをよくやっていたらしい。逆に現代じゃ祖父母と居てもあまりやらない遊びだ。

 今じゃ色々なゲームがあるし、昔でもゲーム機はあったわけだからそっちの方に行くのかな。



「俺ん所は生まれる前にばあちゃんもじいちゃんも居なかったからなぁ」
「親戚とかは?」
「夏樹さんくらいじゃん? 他の親戚っつっても海外にいるらしい。会った事ないな」



 夏樹さんは唯一国内にいる親戚である。それ以外は正直何も知らない。
 両親の友人とか知り合いは沢山居るから昔はよく会っていたみたいだけど、小さかったからあんまり覚えてない。
 正月に行った旅館の店主が良い例である。

 母さんの兄と父さんの妹が結婚するとかいう兄弟揃ってとか混乱を招く親戚関係ではあるが、それが故結果的に夏樹さんに俺を任せるなんて現状が出来上がってたわけだけども。
 独り暮し状態に慣れた高校生にもなれば、そう過保護にならなくていいし、夏樹さんにも私情があるので最近あまり会ってない気もする。



「まあ…俺もばあちゃん以外は親族が無いようなもんだから、現状あんま変わんねーな」
「いや全然違うから」



 軽々言ってるけど、蔑ろにされてて親代わりのお祖母ちゃん以外関わってなかったってのは、俺の親類関係とはかなり違うというのに。



「だから俺は瀬戸と一緒に楽しいって思えること沢山したいわけ」
「……まあ、お前と会ってから楽しいっつか面白いというか、なんか忙しい」
「いい意味で?」
「良い意味で」



 それでも瀬戸は、過去が今に至る経緯であると考えれば気にならないと言う。
 まだ交遊関係に戸惑う事も多いらしいけれど、それでも楽しいって思ってくれてるなら喜ばしい限りである。



 


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