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02
 


 誰彼の第2ボタンがどうとかの話は校内で盛り上がっているのを聞いたけれど、正直第2ボタンを貰った所で制服は全て同じだから誰に貰っただのという印はない。
 本人の気持ちの面で色々あるかもしれないが、俺は瀬戸が好きだけど制服の第2ボタンが欲しいとは思わない。大本が身近にいるし恋人という立場だからかもしれないけれど、もしそうならなくても貰うなら連絡先だな。


 そんな事を考えながらラインに返事をして、どうせ正面玄関で馨先輩は他の生徒に捕まるだろうから時間に余裕を持って合流する事になった。
 蒼司がついてくるなら瀬戸と三人で待っていれば良いか、と雑に予定を立ててキッチンに戻ると、湯気は落ち着いていて茶葉を入れたポットに注ぐ。



「───…紅茶の匂いがする」
「ん、ちゃんと拭けよー」



 茶葉を蒸らしていると瀬戸がタオルを被ってキッチンに入ってきた。
 いつだか瀬戸が置いていった部屋着はサイズが大きく、長身の瀬戸でも手が半分くらい隠れるほど袖が長い。



「萌え袖ーかわいー」
「こんなガタイの奴に言う言葉じゃねーな」



 言いながら袖を捲ろうとしたので瞬時に止めて、指先が顔を出す手に紅茶を淹れたマグカップを差し出した。



「萌え袖でカップ持つとか…あー…」
「大丈夫かお前」



 表情を引き締めたくても出来ずに、にやにやしたままマグカップを持ってソファーへと戻れば後ろから呆れた笑いが聞こえてくる。



「瀬戸がやるから可愛いんだってば」
「お前もやれ」
「萌え袖?」



 テーブルにマグカップを置いてソファーに胡座を組んだら瀬戸が捲っていた部屋着の袖を掴むので、折り込んでいた袖を戻した。
 部屋着は父さんのお下がりで大きいからかずれると肩が見える。腕捲りをしていたのは紅茶を淹れていたからだけど、普段も寝る時以外は手首が見える程度捲るのであまり袖を伸ばしてない。

 手を揺らすと袖が手を隠して、そのまま目線を隣に向けたらいきなり頬を手で挟まれて変な声が出た。



「……おーい」
「……」



 掴んだくせに無言なもんだから、伏せたためにタオルで隠れた顔が見えず瀬戸の足を軽く叩くと、頭を横に倒したように見上げてきた目の強さにドキリとした。



「……部屋着と制服じゃ全然ちげーな」
「ん?」



 制服で萌え袖なんてやったけ、と考えてみだけどそういやセーターでかかったな。



 


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あきゅろす。
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