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接触と混乱。‐01
 


 中学時代の元カレ、霧島蒼司が南ヶ丘に転入して来てから約一週間後の事だった。



「───久しぶり、諒」
「………おぅ」



 朝、いつも通りに幼馴染み二人と登校して、教室に入ったら既に蒼司は登校してた。
 それを視界に捉えつつ、会話をしながら席についた時に、蒼司が来て声をかけられた。
 伊織から見れば、蒼司は背を向けている状態のために気にする事なく伊織は嫌な顔をしてるのを目の端に、蒼司を見上げる。


 まぁ男だし、やっぱり高二だから中学より背は伸びてるとは思ってたんだが、中学ん時はそんな身長差なかったのに、今は明らかに俺よか頭一個分デカイ。
 なんかムカ。



「変わらないね」
「そっちは俺よりデカくなっててムカつく」
「あははっ、諒は今くらいが丁度良いよ」
「はぁ?おま、厭味かコラ」
「違う違う」



 昔と変わらない話し方、表情の変化。


 ほら、やっぱ気にする事ねぇって。

 そう思って、ちら、と伊織を見て思わず一瞬目を見開いた。


 伊織が、まるで警戒するような目で蒼司を見ていたからだ。ここまで誰かを嫌うなんて思わなくて、ただ驚くしか出来なかった。
 正直、伊織の勘はよく当たる。
 それは今まで過ごして来た時間と経験が、この間の伊織が言った言葉に確信を持たせた。



「───で、どうした?何の用?」



 言いながらも目をそらし、蒼司を見上げて聞けば、相手は一瞬驚いたように目を開いたが、すぐに人懐っこい笑顔に戻る。

 何を驚いたのか知らんけど、蒼司が用もなく話しかけるようなヤツじゃねぇのは知ってるわけだし。



「そうだね。ちょっと話しがしたいな。二人だけで」
「!」



 二人…?

 ちょっとドキッとしたものの、疑問を口にする。



「ここじゃダメなのか?」
「うん。二人だけがいいかな」
「……分かった」



 返事一つ立ち上がれば、蒼司は、こっち、と廊下を指差して歩きだした。
 その背中を見て、二人に視線を向ければ、多貴は手を親指と小指だけを立て、親指の腹を耳に当てて電話の形を作った。

 それを見て、蒼司について歩きだす。



 ───何かあったら、即電話。



 多分、間違ってない。


 


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