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02
 


「どんな形であれ、僕は諒が幸せならそれでいいよ」
「伊織……」


 ちょ、なにこの子。


「伊織大好き!」
「僕も大好きだよ」
「え、オレは?」



 手を伸ばして伊織の両手をがっつり掴んで言えば、嬉しい言葉が返されて。
 親友って素晴らしいねー、なんて思ってたら横から多貴の声。



「もち、大好きだぜ」
「だよねー」



 親友ってか、家族みたいな感じなんだよな。いて当然、当たり前。居ないと違和感。
 ちっせぇ時からずーっと傍にいるこの二人と離れるとか、考えたこともない。
 伊織と多貴、美味しい甘いものがあれば、俺は幸せだし。


 三人して好き好きやってたら、何故か後ろから異様な空気を感じて振り向けば。
 むすっとした瀬戸と目が合った。



「……嫉妬?」
「ぶ…っ」



 二人の手を握ったままの体勢で言えば、瀬戸が吹き出した。
 因みに伊織と多貴は笑いの意味で吹き出してました。



「俺らの友情に嫉妬か瀬戸」
「……は?」



 え、なんでそんな豆鉄砲喰らったような顔すんのさ。
 違うのか?キモかったとか鬱陶しいとかそっちのあれか?



「因みに俺のファーストキスは伊織です」
「………、」



 真顔で言えば、瀬戸の視線が伊織に移る。

 因みに言っとくと今現在俺らの周りの席には誰もいないし、ほとんど全員が蒼司の周りにいて話し声でこっちの声は聞こえてないはず。だから言ってみた。



「そうだったね」



 笑顔で肯定。多貴も知ってます。
 小一の時にふざけてチューした。そのあと多貴ともしましたけど何か。
 多貴のファーストキスは伊織で、伊織は多貴が初めて。でもエンドレス三角関係じゃないよ。



「お前らって……」



 瀬戸の目が呆れた感じになって、異様な空気が消える。



「もはや家族だもんねー」
「俺、前から思ってた」
「僕も。三つ子みたいだよね」
「……なんか、すげぇな」



 だから深いんだよ、俺らの関係。


 にっかり笑えば、瀬戸はニヤリと笑ったけど、少しだけ、気のせいかもしんねぇけど、目が淋しそうに色づいてた気がした。



 


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あきゅろす。
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