人によって見方は変わるけど。‐01
昼休みが終わる数分前に教室に戻れば、相変わらず囲まれていらっしゃる転入生、霧島蒼司。
人懐っこい笑顔で、囲んでる女子とか男子がしてくる質問に答えているようだ。
ああいうイケメンといれば出会い増えたりするんだろうし、悪い言い方するとおこぼれ貰えますよ的な。
因みにそれ言ったのは多貴です。
過去にそういう目的で近付いてきた男子がいたからね、ほら、絡み付いて来る女子の色々とか。
「てかさ、」
特に興味もなく席に戻ってぽつりと言えば、伊織が首を傾げた。
「言い寄るとか、ないと思うけど」
「なんで?」
なんでって…。
「別れたんだし、向こうで彼女とかもいただろうし。好きとかどうとかいう感情、ねぇと思うけど」
そう言えば、伊織は少し考えたように目線をずらして。
「諒と付き合ってた時の纏わり付き方とか、引っ越すって決まって諒が別れようって言った時の反応は異常だったけどね」
「確かにー」
異常て。
俺が蒼司に別れ話をした時、近くに二人共いたけどさ。教室だったし。
めちゃくちゃ駄々っ子になられて、遠距離じゃだめなのか、とか何回か言われた。
メールも電話も毎日するし浮気しないし、絶対こっち戻って来るから、とか。
だけどその時は戻って来る保証もないし、中三で卒業近かったわけで、俺はいい節目だと思ってた。
別に好きじゃなかったってわけじゃねぇし、嫌いでもなかった。
ただ、果てしなく非生産的な恋愛で、一般的には受け入れてもらえない恋愛だし、お互い将来的に無利益で、結局蒼司はお金持ちの一人っ子で後継ぎだと知ってたのもあって、必ず誰かと結婚して子供に恵まれて、とか色々考えてたわけで。
俺だってそうなるわけだし。
必ずとは言えねぇんだけどさ。
頬杖をついて、ぼんやりと二人を見る。
「…だとしても、別れて離れりゃ心変わりはするもんだろ」
「まあね。どちらにしろ僕が思うに、諒は靡かないと思うけど」
「なんだそりゃ」
意味分からん。
そこで瀬戸をチラ見する意味も分からん。
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