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02
 


「……って、」


 お前が言うんかい!

 予想外にも口を開いたのは多貴で。
 その視線の先は、伊織手づくりのお弁当。
 取りあえずお前、一応弁当から目を離して言おう…?何でもないような言い方しやがってコラ。


 ちら、と瀬戸を見れば、目をこれでもかと開いて固まってた。


 うわ、うわ…!なんだ、何でこんな焦ってんだ俺!?
 いや、いやいやでも一般的に同性と付き合うのは普通引かれたりするモンだから、これは絶対そういうアレであって…!



「……マジ?」
「……っ…、まぁ、一応」



 いやでも付き合ってたからって恋人らしい事なんて、あれだしキスくらいで最後までとかそういうあれじゃ……!って、だからなんで俺こんなパニクってんだよ!?

 てか、やっぱキモいよなぁ…。
 うーん。つか何で俺若干ショック受けてんだあーもー意味分からん!



「……」
「ほら、やっぱ瀬戸君にはアレだよ」
「だなー」



 ひとり頭の中でわちゃわちゃなってたら、隣からまた溜息。
 そして多貴のあっけらかんとした声。人の気も知らずに二人は真面目な顔で。



「……アレってなんだ」
「っ何でもねぇよ」



 伊織と多貴に聞いたのに、返事をしたのは瀬戸で。二人はなぜか目を丸くしてる。
 え、何なんマジで。



「諒、気をつけなよ」
「なにを?」
「また言い寄られないようにー」
「ぶはっ」



 多貴の言葉に吹き出したのは瀬戸です。
 なぜ。疑問しかねぇのですが。



「だからなんで、」
「つーか、何で別れたんだ?」



 言葉を遮られ、瀬戸が聞いてきた。
 一瞬思考停止に陥る。



「……ぁー、中三の時に引っ越したから」
「誰が」
「蒼司が。北海道に引っ越すってんで、俺が別れようって言ったんだよ」



 遠距離希望されたがな。
 戻る予定もないのに遠距離恋愛なんかしません。新しい恋を探しますってカンジ。
 まあ俺が万年恋をしてんのは専らスイーツですが何か。


 半ばヤケクソになって言えば、ただ一言、ふうん、とだけ返された。
 横の方々は何故か微笑んでいらっしゃいますが。なぜ。
 それから瀬戸は無言でおにぎり食ってた。


 

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