06 「どうだった、告白は」 「疲れた」 本当に疲れた顔してるから、相手は結構粘ったのかもしれない。 お疲れ、と肩を叩くと、癒せと返されたのでとりあえず膝枕を提案したら納得してくれた。それで良いのか。 ちなみにケーキ屋さんにはギリギリ間に合って、新作と瀬戸の分をひとつずつ購入。常連で顔馴染みなので、店員さんはいつもおまけでクッキーをくれる。これがまた旨いのだ。 家までの帰り道、夕飯をどうするか聞いてみた。 「何食いたい?」 「あー…、冷たくないやつ」 「そりゃそうだな。シチューは?」 「今からじゃ遅くならねぇか」 確かに普通に作るとな。だがしかし、時短方法はあるのだ。 「炊飯器で作る」 「は?」 大抵の煮物類は炊飯器で作れる。 二人分だから少なくていい。炊飯器に野菜と水と調味料まで全て入れて通常炊飯すれば味の染みたシチューの出来上がりである。 ただ炊飯器の掃除が面倒だし、嵩増ししたいから火の通りにくい野菜と肉だけ炊いて鍋に移すんだけど。 簡単に説明すると、主婦だなと感心半分笑われた。ついでに頭撫でられた。 「いつでも嫁に行けるじゃん」 「お前が嫁ぐのかよ」 「え、瀬戸が婿養子になんの?」 「どっちかっつったらそうじゃね?」 ああ、まあ、確かにそうかも。 俺の両親も似たようなこと言ってたような、言ってなかったような。 「でも専業主夫より働きたい」 「そこは好きにしたら良いだろ」 「瀬戸は良い旦那になりそうだな」 「なんだ急に」 何となく考えてみたら、我が儘聞いてくれて甘えさせてくれて甘えてくれるし、話をちゃんと聞いてくれてそこに意見してくれて、家事手伝ってくれて、素直に伝えてくれて、わかりやすくて、優しくて、兎に角沢山良いところがある。 両親とも仲良くしてくれる。 「うん、やっぱり瀬戸はイケメン」 「一人で納得すんな」 意味が分からないと言われたので、帰ってシチューを作りながら細かく説明すると、半分くらいで赤面しながら「やめろ分かった」と遮られた。 しかし照れがあまりに可愛くて、炊飯器が鳴るまで膝枕で拘束して全部言ったら、シチューが出来上がるまでしばらく顔を見せてくれず。愛くるし過ぎて死ぬかと思った。 [*][#] [戻る] |