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 両親が素直なのは良いが、騙されたりしないのだろうか、と大抵は心配する。ただ両親は素直ではあるが洞察や観察力が優れているので、逆に相手が素直にさせられてしまうのだ。
 変わらない雰囲気と口調で悟らせず自然な流れでそれをやるので、業界では敵に回したくない夫婦だと夏樹さんが笑っていたのを思い出す。

 この両親でこの俺が子供なんて、期待はずれとか思われそうだ。



「───諒ちゃんも、もう高校生でしょう?早いわねぇ、しかもイケメン彼氏掴まえて。私が高校生の頃を思い出すわぁ」
「え」



 過去に目を向けた清司さんに、思わず声が出た。
 父さんはそれを可笑しそうに見て、「清司さんはね」と俺達に言う。



「諒たちくらいの頃は男女問わずモテモテだったんだよ、大学ではそうだったね」
「……すげぇ」
「昔の話よん。脂肪が付きにくくて細身だったし、背もあったからねぇ」
「でも見た目より性格で好かれていたじゃない?」
「そうなのかしらねぇ」



 顔馴染み、とは言っていたが、どうやら父さんと母さんは清司さんと大学が同じだったようだ。



「筋肉に魅せられてビルダーを目指している途中で、あんまりにもかっこ良い姉さんを知って、それにも魅せられた結果がこんな獣になっちゃったんだけどねぇ」
「獣なんて自虐的過ぎるわ清司さん」
「そうとも。希望を叶えるのは素晴らしい事だ」
「ありがとうね二人とも。あなたたちには随分助けられてるわぁ」



 なんだか見えない深さで繋がっているような気がして、両親の親しみというのは底知れないのだと知る。
 過去に何があったかは分からないけれど、それでも三人が親しいままであることが良い結果なのだ。


 昔話に華を咲かせる三人を嬉しく感じながらも、隣の存在はずっと俺の意識の中にいる。
 安堵しているのか、今まであった緊張感があまりないように思える。あの話が誰かにとって単純で軽いものでも、俺にとっては確かに重量のある話だった。
 他の家族間でどんな事が起きているのかなんて、わかるわけないのだ。だからこそ知りたい時だってある。
 幼馴染みが寂しい思いをしたのには母親に強い理由があった。けれどあれは、なくてはならない事だったのかもしれない。だからこそ二人は今、強く固く結び付いている。

 俺も瀬戸とそうなれたらいいな、なんて子供のような希望を願う。
 ただ願うなら、その方向に行かなければ目にも入らないのだ。


 


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あきゅろす。
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