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02
 


 すげぇ人、と呟く瀬戸に同意して、ひとの目を引いている強面を見上げ改めてカッコいいな、なんて思っては勝手に恥ずかしくなる。

 とりあえず仕入れようとスイーツが集中する場所へ。
 クリスマスとあってカップルや家族が多く、その中で男女問わず視線を集める瀬戸に苦笑しながらケースの中で煌めくケーキやゼリー、和菓子などに目を奪われる。

 どれにしよう、とそれに集中していると突然後ろから腕を掴まれてハッとして振り返る。そこには呆れた目をした瀬戸がいた。



「ぶつかんぞ」
「わりぃ」



 緩く掴まれた腕に伝わる圧力に意識が向く。人混みで気にする人はいない。
 ふと、夏祭りの時を思い出す。
 ああまた、苦しくなる。

 離されない腕をそのままに、気に入ったスイーツを色んな専門店で購入していく。五個を越えたあたりで瀬戸が絶句しているのに気づいてたけど、毎年五個は最低数である。スイーツ好きナメんな。

 限定商品ばかりを集め、仕入れには満足したので帰ろうと言えば瀬戸は「やっとか」といった表情で頷いた。



「大量大量ー」
「多すぎ」



 スイーツが入った箱を瀬戸も持ってくれて、あとは帰って味わうだけだと楽しみで笑顔がおさまらない。
 意外と甘いものが好きらしい瀬戸も、触発されたのか気になったケーキをひとつ買っている。


 帰宅して暖房を点け、紅茶を淹れてソファ側のテーブルにケーキの箱を置いている瀬戸に買い物に付き合ってくれた礼を言いながらカップを手渡した。



「毎年これやってんのか」
「うん。多いときは十個越える」
「すげえな」



 小さい箱を開いてスイーツを並べ、色とりどりのそれらをまず眺める。
 赤にピンク、黄色に茶色に白などなどがテーブルを埋め、視覚から味わうのが俺の楽しみ方である。

 いただきます、と手を合わせてフォークを差し込んで掬い上げ断面を眺めてから口に入れた。

 瀬戸は小さいフルーツタルトで、ゼリーがキラキラしていてチョイスがクソ可愛い。こいつは俺をツボにハメ過ぎだと勝手に腹立たしく思っても、口の中を満たす甘味にそんな苛立ちも流される。



「んま」
「本当に旨そうに食うよな」
「旨いもん、食う?」
「……食う」



 掬った一部をそのまま差し出すと、少し躊躇ったもののゆっくりそれを食らう。
 然り気無く感じた色気にドキドキしたけど、何かに飲まれるように結局買っていたスイーツを一口ずつ食わせていた。



 

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