03
デカ盛りが有名な喫茶店は、駅のロータリーがある出入り口とは反対の細道にひっそりと建っていた。
中にはいるとちらほら人はいるけれど、騒がしくなく強くない照明にログハウス張の店内が合っていて、席同士も近すぎず落ち着きのある雰囲気。
一番広い席をあててもらい、メニューを開くと安いファミレスと変わらない値段設定で安心する。
向かい側に幸丸、桜井ちゃん、伊織が座り、俺、瀬戸、多貴で席につく。
とりあえずパフェだ、とデザート欄を見ると、王道のチョコやフルーツ、ストロベリーや抹茶、栗などの期間限定を合わせてパフェだけで五種類もある。
ケーキもアイスも五種類以上あって、飲み物はホットとアイス、軽食のピザやフライドポテトやトースト等々、種類が豊富で驚いた。
ただデカ盛りの対象がどれなのかよくわからない。
「デカ盛りってなにがそうなのかね」
向かい側に座る幸丸に聞くと、幸丸は首をかしげながら言う。
「友達は飲み物とかパフェはデカイっつってたけど、軽食系とケーキとかは頼んでないからわかんねぇって言ってたっすよ」
「とりあえずパフェは食べよう」
「じゃあ食べたいもの頼めばいいね」
伊織の言葉に頷いて、みんなでメニューを覗き込んだ。
全員の食べたいものが決まって注文してから少し雑談していると、先に飲み物が運ばれてきてそのデカさに絶句した。
紅茶のホットを頼んでいた俺と伊織と桜井ちゃんは、ついてきたポットが三杯分はあるだろう大きさで、冷たい飲み物を頼んだ瀬戸と多貴、幸丸の前には角氷がいくつか入った大ジョッキが置かれる。
従業員が去った瞬間に、全員で「えー…」と揃って呟いた。
料金的には、ドリンク単品でいえばファミレスより安い。なのにデカイ。
まじか、と思わず笑いが出て、みんなで笑っていると従業員が再び盆を持ってやってきて、その盆の上にあるグラスのデカさにまた絶句。
ゴトン、と重圧な音と共に俺の目の前に置かれたのは、ファミレスで見るスレンダーなグラスのパフェではなく、小さめのガラスの金魚鉢に山のように盛られたマロンパフェである。
下からマロンソース、バニラアイス、マロンアイス、フレーク、砕いた甘栗、ホイップ、黒糖ゼリー、丸いバニラアイスとマロンアイス、ホイップ、甘栗が周りに置かれてチョコポッキーが四本刺さっている。
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