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02
 


 講堂から教室に戻る道すがら、最近瀬戸君とのスキンシップが目立つよね、と伊織に言われて少し考えた。
 最初に比べたらそりゃあ、瀬戸が触れてくる事も、俺は吹っ切れたのもあって自分から動いたりすることも増えたけど、やってることは今までの幼馴染み二人とのスキンシップと変わらないから違和感はない。

 ただ時折やっぱり、広い背中を見ていると抱き着きたくなる衝動がある。
 おもちゃを前にして焦らされてる犬猫みたいな感じに、疼くというか、別に我慢する必要ないと思うけど自分の気持ちが無意識にストップをかけてる。
 恋愛感情を意識しなければ、余裕で飛び付いたりするんだけどなあ。


 だってなんか触りたくなる、と呟いた声は不貞腐れたようなものになってしまったけれど、そう言うと伊織は「まあ仕方ないね」と微笑んだ。
 なにが仕方ないんだと思ったものの、幼馴染みとのスキンシップを考えれば仕方ないって意味なのかな、という納得に至った。



 教室に戻ってまっつんの雑な話を聞いて、あっという間に解散となった教室内は昼前もあってどこかでご飯食べるかという会話がそこかしこで行われている。



「パフェ食べたい」



 携帯とにらみ合いながら教室を出ていった蒼司を眺めながら、ふとした欲求を呟いた。…あの相手は会長かな。
 俺の唐突な甘味欲求に慣れたのか、甘味がありそうなファミレスや近場の喫茶店などを候補に上げてくれる。



「そういえば、駅の近くにデカ盛りで有名な喫茶店が出来たらしいっすよ」



 ライトグリーンの携帯を見ていた幸丸が、ぱっと顔を上げて言った。
 デカ盛りか、と想像したら気になってきて、そこ行きませんかと真面目に聞いたらみんな笑って頷いてくれる。優しい。



「お昼の時間だしちょうどいいね」
「どんくらいデカいんだろうなー」
「友達が言うには、二三人前が一人前扱いらしいっすよ。飲み物とか大ジョッキだって」
「まじか早く行こう」



 飲み物がそれならパフェはどれだけ大きいのか、と思いを馳せながら、六人で各々マイペースに教室を出て駅前に向かう。
 限定スイーツとか出ないかなあ、と駅に続く道にあるケーキ屋などを横目に戯れて歩くのが楽しいなと思う。
 冬休みは課題もないし、明日明後日にはクリスマスがある。出掛ける予定は組んでいるけど、どこに行くかは喫茶店で話し合えばいいかという幼馴染みを会話を聞きながら、同じことを考えているんだなあと嬉しくなった。



 


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