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06
 


 次いで真っ白だった頭についさっき言った自分の言葉がはっきり浮かんで、急激に熱が顔に集中する。
 頬をつまんでいた手を咄嗟に払うと、驚いた瀬戸と目が合ってその目が見開かれるのを見てから、しゃがみこんだ。



「…あー…、もー、やだ……バカ」
「自業自得だろうが」
「だってお前が慣れてないとか言うから」
「そりゃあ今まで無かったんだから慣れねーよ。でも悪くねぇよ」
「……」



 ぐしゃりと髪を混ぜられて余計に恥ずかしくなる。



「共有とか、悪くねぇな」
「〜〜っ、」



 穏やかな声に上がる熱がおさまらない。


 好きだ。
 好きなのに、苦しい。
 この好意と瀬戸の好意が違うことが苦しい。だけど、悪くないと言われたことが嬉しい。

 しばらく唸ってから熱くなった顔を手で扇いで立ち上がる。
 盆と急須を手にリビングに戻ると、多貴と伊織と夏樹さんに三方向から頭を撫で回されて、瀬戸が幸丸と桜井ちゃんに弄られているのをチラ見してから溜め息を吐いた。



「諒、マイナスな事ばかり考えちゃダメだよ」
「そうそう、諒ちん、突っ込んでいけよ」
「砕けないから大丈夫よ」



 小声でそれぞれに言われて、あれやっぱりなんか勘づかれてるよなこれ、と思いながらも頷くしかなかった。


 少し気まずい気分になったけど、なんだかんだ盛り上がりは続いて気付いたら21時を過ぎてしまっていたため、方向が同じである幸丸と桜井ちゃんを瀬戸に任せて、伊織と多貴にも気を付けてと寒空の下で後ろ姿を見送った。


 夏樹さんと片付けをしていると、幸丸と桜井ちゃんを大層気に入った様子の従姉はまた一緒にご飯食べようと言ったので笑いながら頷く。



「友達増えてよかったね」
「うん。たまにテンションついていけねーけど、楽しいよ」
「でさ、あんたいつ告白すんの」
「え、うわっ」



 唐突なそれに、泡のついた皿をシンクに落とした。割れてはいないけど焦るわ。
 なに急に、と横目で見ると、愉快そうに笑う従姉がいて溜め息が出る。



「わかんねーよ。大体、向こうに好かれてるっつったって友達としてだし」
「……」
「なんだその目」



 呆れたような諦めたような形容しがたい目を向けられていてむっとすると、夏樹さんは「あー」と手を振ってシンクに寄りかかって言った。



「そーいやアンタ天然並みの鈍感だったわ、ごめん」
「意味わかんねーし天然じゃねぇよ」
「いいのこっちの話」
「……」



 いや意味が分からない。


 


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あきゅろす。
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