04
荷物をダイニングテーブルに置いて、暖かいお茶を出して五人を座らせる。手伝うと言っていたけれど夏樹さんが制して俺はキッチンで出来ていく料理を運ぶ。
「赤飯だし和食も良いかと思ったんだけど、早織さんに明日赤飯出すから和食以外でって言われてさ」
「え、そうなん」
洗いものをしていると横でお茶を飲む夏樹さんが言った。
いつの間に連絡取ったんだと思いながらも、だから寄り道程度でこっちに来たのかとローテーブルで会話する幼馴染みを見る。
相変わらず瀬戸は弄られているようだ。物凄く参加したい。
「まあ、認めないわけにはいかないじゃない?本気出して今まで頑張ってきた姿見たらさ」
「うん」
今はまだ学生だからこれで落ち着いてるけれど、卒業して大学行って仕事をするようになればやらなきゃいけないことは沢山ある。
それでも一緒に居たいから、多貴と伊織は真剣に向き合う。
そんな二人を側で見ている俺は、まだ中途半端なんだろうなあ。
思いながらも調理台を拭いていると、グラタンをぶっ込んでいたオーブンが鳴った。
「───それじゃ、多貴の初期末試験一位獲得を祝って乾杯ー!」
「内容ショボくない?大丈夫これ?」
「だーいじょうぶだっつの」
「おめでたいことだよ多貴」
「伊織に言われるとそんな気がする…」
気恥ずかしそうな多貴を手早く納得させた伊織に笑いながら、入れ直したお茶で乾杯をして、出来上がった料理を分け合う。
ローストビーフ、グラタン、キッシュ、マリネ等々のジャンルは様々だが美味しそうな料理を各々摘まみながら、試験で伊織を抜く難関さを多貴と共に語った。
盛り上がる空間を背に、暖かいお茶を入れ直そうとキッチンへ入ると、トイレに行っていた瀬戸がリビングではなくキッチンに来た。
「どうした、お茶飲む?」
「いや、水」
「ん」
暑くなったのか薄いロングTシャツになっていた瀬戸に、水を入れたコップを渡してヤカンの沸騰具合を確かめながら、騒ぐリビングの集団を見て笑う。
幸丸と桜井ちゃんの社交性が高い事は知っていたけど、夏樹さんも絡んでいく所があるから馴染むのが早い早い。
さっちゃん、ゆいちゃん、なんて呼んでるしあの人ホント絡むよな。
水を飲んでいる瀬戸を見ると、なんだかぼんやりしていた。
「疲れたか?」
「……いや、なんつーか、慣れねーから」
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