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03
 



 ストレス発散中なら一人でやってもらったほうが良いかと、ダイニングに出て人数を考えながらソファをずらし、折り畳みテーブルを自室から持ち出して布巾でそれぞれ拭いていると、チャイムが聞こえて玄関に向かう。


 つっかけを履いて玄関を開けると、瀬戸と幸丸と桜井ちゃんが立っていて少しびっくりした。



「途中で捕まえましたー」
「っす」
「……捕まった」



 どうやら方向が同じだったため、後ろから桜井ちゃんに突撃されたらしい。桜井ちゃんの怖いもの知らず具合というよりも、お互い慣れてきたんだろうな。
 桜井ちゃんの言葉に乗っかった瀬戸が溜め息をついていたが、なんだか楽しそうで笑う。

 お邪魔しますとそれぞれの声を聞きながらリビングに戻る。
 後から来た三人は夏樹さんの存在に一瞬驚いたものの、気さくな挨拶に幸丸と桜井ちゃんは笑顔を浮かべた。
 瀬戸は何だか気まずそうに眉を寄せたが、夏樹さんが幸丸と桜井ちゃんに向けたものと違う笑みで近寄って、なんと片手で瀬戸の頬を挟んだ。



「いやいやいやいやなにしてんアンタ」
「気まずそうな顔しやがってさー、ちょっと嫌がらせしようかと」
「……玉ねぎくせぇ」
「玉ねぎ切ってたからね。ざまあ」
「……」



 あ、瀬戸が溜め息吐いてる。
 眉を寄せながらもされるがままの瀬戸を見て幸丸と桜井ちゃんが笑っていると、またチャイムが鳴ったのでそのまま玄関に行くと、背後で夏樹さんが笑いながら遠慮なく食器やら出来た食事何やらを運んで欲しいとお願いしていた。


 玄関を開けると、色ちがいのマフラーを巻いた幼馴染みカップルが立っていた。



「お待たせ」
「あ、もしや最後?」
「いや、ついさっき来たばっかり」



 玄関で靴を脱ぎながら、伊織の家に寄っていたのだと多貴が笑った。
 たかが試験だろうが、条件もあるし結果は結果だ。報告しに行ったんだろう。多貴と伊織の様子から見ても、伊織の両親は喜んでくれたんだろうな。



「てか超イイ匂いするー」
「夏樹さんがストレス発散中」
「マジか。豪華になりそう」



 ストレス発散で出来た料理の豪華さは今までもよく見てきた二人だから、大体の予想はついてるはず。
 まず炊飯器開けたらローストビーフある時点で豪華だしな。

 リビングに入ると、挨拶もそこそこに三人で抱き締め合う幼馴染みと従姉に「凄いスキンシップだ」と初めて見た三人が驚いているのを見て笑ってしまった。



 


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