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02
 


「ところで諒はクリスマスどうするの?」
「え、クリスマス?」



 横向きに座ってにっこり笑顔で首をかしげた伊織に、つい俺までも首をかしげてしまった。


 教室に戻って、夏樹さんに多貴が期末試験一位になったとメールをしたら『お祝いしよう赤飯』と即座に返ってきた。あの人仕事中じゃなかったか、という疑問と俺と同じことを言った事に対する笑いがあったものの、夕飯は俺の実家で夏樹さんを加えた七人でと決まった所だったんだが。

 今日の予定が決まった、という次に、伊織の発言である。

 確かにクリスマスは近いけど、毎年イヴは多貴と伊織と夏樹さんとで過ごしてクリスマスは大好きなスイーツをひたすらに満喫するというのが恒例と化していた。
 だから今年もそうなると思ってたし、多貴と伊織もそう考えてると勝手に予定を決めちゃってたんだけども。



「いつもと同じじゃなくて?え、二人とも今年は二日間予定あり?」
「バカだなあ諒ちん、今年はいつもと違うでしょ」



 呆れたように多貴に言われ、更に首が横に倒れる。
 何が、と思っていると、伊織は相変わらずな笑顔で言い放った。



「いつも通りでも構わないけど、折角だからトリプルデートでもしようかな、って」
「……え?」



 予想外のトリプルデートとかいう言葉に上手く反応出来ずにいると、だからね、と伊織は続ける。



「去年と違うのは、今までみたいに僕たち三人じゃないってこと。森くんと桜井さんは恋人だし、ほら、諒には瀬戸君がいるわけだし」
「ちょ…っ、ちょっ、とまっ、え、伊織さん急になにをおっしゃいます?流れが可笑しいってこれ、え、なんでそうなった」
「仁科テンパり過ぎっす」
「ああホントたまらん」
「……」



 いやホントに意味がわからん。
 幸丸と桜井ちゃんがカップルなのは知ってるし、多貴と伊織は言わずもがな、そこでダブルデートなら納得するけど何故トリプルデートで俺と瀬戸を上げたよ可笑しいよその流れ。
 いくら俺が瀬戸を好きだっつってもそれを言った訳じゃないしそもそも瀬戸が納得しないって絶対。伊織は何か悟ってそうだけど確実ではない事を信じたりはしないって思っているけど、あれ、え、伊織ってまさか気付いてたりすんの。

 いやいやその前に。



「瀬戸の意見くらい聞こうぜ伊織」
「え?良いよね瀬戸くん」
「……あー、そうだな」
「ファ!?」



 

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