予定が決まったようです。‐01
期末試験の結果が貼り出された朝、最近喜ばしい固定になった幼馴染みカップルと瀬戸、幸丸と桜井ちゃんと共に、職員室がある廊下に揃ってそれぞれ歓喜した。
幸丸は中間からまた順位を上げて10位、桜井ちゃんが8位(上がり方が凄すぎて笑った)。
瀬戸が5位につき、俺は安定の4位。
そして驚くべきはトップ二人である。
「すげぇ、多貴」
「初めてじゃない?これは」
「トップが入れ替わったの初めて見たっす」
「確かに初めて見た。ていうかサチ凄いまた順位上げてるね。それよかなにこの集団。全員トップ10入りとか。あぁ頑張って良かった」
「……へえ」
それぞれ視線は順位表ではあるものの、主にトップ順位に驚いている。
1年から中間期末の1位を独走していた伊織が、なんと初めて2位の位置に名前を載せ、いつも伊織の名前の下にいた多貴が期末試験1位に移動したのである。
驚くべきはその点数差、なんと1。そんなまさかである。
「数学の複雑な計算式の問題でね、記号をひとつ書き間違えたみたいなんだ」
数学の配点はかなりシビアだから仕方ないね、と伊織は笑ってるけどシビア過ぎるだろまっつん。
伊織が間違えたらしい記号は、ぶっちゃけ別の記号でも解答としては成立する。答えが変わらないからだ。
だがしかしそこは鬼畜なまっつんの担当教科。まっつんが用意した解答と同じものでなければ、一字一句、例え数式の内容の一字でも配点対象になる。
だから数学は他の教科と違って1点なんてえぐい差が出来上がってしまうのである。
まっつんの鬼畜さをよく知るAクラスの生徒は、解答を事細かに見直す癖が出来た。結果的には良いんだろうけど神経磨り減る。
話題の中心である多貴は、唖然として順位表を見つめたまま、ぽつりと言った。
「……まじか」
いつものおちゃらけた雰囲気は皆無。
そりゃあびっくりするわ。
今までずっと追いかけてたのに突然抜かしてしまうと、びっくりし過ぎて立ち止まるからな。
「多貴ー、今日は赤飯な」
「そうだね、お祝いしよう」
「大袈裟じゃね」
「バカ瀬戸お前な、伊織を抜いて一位ってすげぇんだぞ」
「今まで譲ったことないからね」
「伊織は小、中も独走してたからなあ」
「は?マジかよ」
「めでたいっすね」
「これはめでたいね」
瀬戸も大袈裟とは言うものの凄いと思ってくれて、各々喜んでくれるメンバーに、俺は心底嬉しくなった。
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