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04
 



 とりあえずそんな感じで、と巾着を持って立ち上がると、瀬戸も一緒に無言で立ち上がりさっさと出口に向かっていった。



「なんだアイツどうした」
「……お前、気付いてないのか」
「は?」



 会長の言葉が理解出来ずに首をかしげたら、何故か会長は瀬戸に哀れんだ目を向けた。あんたにだけは向けられたくねーな。とりあえず、どんまい瀬戸。













「瀬戸さーん、どーして置いていくのー」
「……」



 生徒会室を後にして教室に戻りながら、先に行ってしまってる瀬戸に呼び掛けるが無視された。ちょっと寂しい。イタイ。

 なんで急に不機嫌になったのかが分からない。
 俺と会長が仲良しっぽいから?なーんちて。瀬戸が嫉妬とかしてくれんなら俺は嬉しくて抱き着くね。いやごめん恥ずかしくて無理だ。

 とにかく置いていかれてることが寂しい。



「おーい瀬戸ー。……かーずふーみくーん」
「…ッ!?」



 寂しいけど駆け寄るのも面倒でマイペースに歩きながら、ふざけた勢いで名前を呼んでみた。
 そしたら立ち止まってびっくりした顔で振り返った瀬戸に思わず笑う。やべぇアイツ面白い。



「置いてちゃやーよダーリン」
「おま…っ、ふざけてんじゃねえッ」
「やだそんな怒らんでも。ダーリン呼びしてごめん」
「いや…別に、」
「なんで顔赤いん。あ、照れた?」
「照れてねえよ」
「じゃーなんで」
「うっせえ」
「あ!」



 立ち止まって追い付いたはずなのに、瀬戸はまた早足で行ってしまった。
 ふざけすぎたか。
 でも顔赤いの可愛んだけど何アイツ最近そういうの多くない?なんなん俺をどこまで落とすつもりだアイツ無自覚か。



 瀬戸の後ろ姿を見ながらちょっと駆け足になって、近付いたその背中に抱き着いてみたい衝動に駆られたが何とか我慢して、追い付いた途端に軽く頭を叩かれて仕返しに脇腹をつついたらセットした髪をぐしゃぐしゃにされた。解せない。


 ただ、いつの間にか瀬戸の機嫌が治ってたみたいで、ひと安心。




 ぐじゃぐじゃにされた髪を整えながら教室に戻ると、幼馴染みカップルと幸丸がなぜか暖かい目で「おかえり」と言ってきたので不思議に思いながらもそれに返事をした。


 教室まで戻る間の戯れに、ドキドキが止まらなかったのは自分だけの秘密にしようと思う。


 


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あきゅろす。
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